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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

ジャガード織機の縦針、横針

2013年02月23日

ジャガード織機の針というのは、紋紙を無理やり戻そうとすると曲がってしまうことがあるのです。今日はその問題を解決すべく、針の交換を行いました。構造が理解できているとそれほど難しいことはないのですが、針を交換した後に針を押すカバーの位置などの微調整がうまく出来ないと、交換する前よりもジャガードの状態が悪くなります。

織機などをみていると機械工学の賜物で、エンジンという部分を除けば自動車と変わらんなあと思ったりします。原理は非常に簡単であとはどれだけ正しく動かすかと、設計による部品の耐久性のクリアと部品そのものの耐久性の問題だろうと思うのです。また、操作する人の技術というのも大事ですし、それを修理調整する人の微調整できる能力も大事です。織物が織れる織れないだけでなく、織機そのものを壊してしまうのです。

ひとつの織物だけをひとつの機械で織り続ける場合にはそれほど問題はないですが、いろいろな織物を織ろうとするといろいろな織機の問題が見えてきます。最近はリネンの細番手織物などを中心に織っていますが、同じ形の織機でも織れる織機と織れない織機があるのです。それは調整を限界まで同じに掛けてもたどり着けない個体差に近いものなのです。

小さなローラーのプラスチックの消耗をカバーするために調整をずらしている箇所があるとすると、本来はローラーのプラスチックを交換するべきなのですが、そのプラスチック部品が入手できないとなるとセカンドベストの方法で補わないとなりません。その辺りの妥協点と自分で解決する力こそが現実的な仕事なのですが、それを理解してもらうことが難しいのも事実です。部品は消耗するもので、交換するではなく、消耗する度合いに応じて調整も必要なのです。

ジャガードに掛かっているチェーンベルトなどもそうで、鋼鉄のベルトですが、使っているとだんだんと伸びてきます。それを、一駒ぶん、短くするなどして伸びた分をカバーしてあげるのです。新しいのを買い換えてする交換方法もありますが、それをやっていると厳密には、ひとつか二つの大きな仕事をしただけで交換作業が必要になります。

先日も、機料屋さんと話をしていると、昔の織機のほうが長持ちするということに尽きます。今の織機は一つ一つの部品からして消耗品の塊で、何十年も使うことを想定していないのです。このことは自分自身のものづくりにも注意しておかねばならないところだろうと思っています。


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