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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

蛍光色

2013年06月18日

今、100番手のストールの横糸、パッション系の色を織っている。蛍光のような色味で、ポリエステルなどの合成繊維によくある色。麻でこういう色のものが少ないのは、出来ないからではなくて、あんまり売れないから。画像の世界ではこういう目を引く色というのが強いのも事実。実物を見ずに購入を考える流れができてくると流れる色味というものも変わり始める。

見栄えするような色というのを求めてくださるお客様というものも多いもの。自動車の宣伝で、パステルな車を走らせるのもその類で、それと同じ色の車というのは宣伝にも使われるイメージカラーながらもめったに見ない。パッショングリンの車や、真っ赤な車。人目を引くことが大事で、実際に流れやすいものとは別の世界というのを分かっているかどうかで、失敗は少なくなる。

いろいろなカラー講座あるいは哲学があろうが、日本人の色彩感覚というのは独特。海外のような、目立つ色が売りにくいのも事実で、学校で学んだ多くのデザイナーが服を売るのに苦しむのもそこだろうと思う。日本人の場合には、ベーシックでよいものを欲しいというのが、モノがあふれてしまっている中での価値基準の一つ。

麻に関してはどうしても紺などの落ち着いた色を求められるケースが多い、紺は紺でも、売れる色と売れない色の差は微妙なのだが大きい。染料の原色の紺を使ってよく売れるということはないのも、染というものも技術だけではなく感性が大事ということ。

今日は、夜中、先日染めたストールを夜中、房を作るためにどこからどこまでで一枚を取るのか検討をした。どこを取るかでストール1枚のイメージが変わってくる。綺麗じゃない味の世界。なんとなく日本的で自然な気がして力強い。

これは技法的なものとして片付けるでなく、ものづくりというものの基本的かつ大事な部分を含んでいるといえる。問題がないように安全にものをつくるとどこでも誰でもつくれるものになりがちで、自分自身の感性を入れ込んだものというのはそれが伝わるものだ。

さびしいなあと思うのは、ヨーロッパの人が崇拝するようなデザインの世界が日本にもあるのだから、そういうものは特別な世界として我慢も含め残していかないとならないと思うが、新しい好きな先生級の人たちが儲かるからやっているだけ的なものづくりを絶賛され成功例として持ち上げられてしまうことも多い。


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