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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

引き際

2013年10月05日

仕事などでもよく引退ということを聞きますが、引退なんて別にする必要もないけども、次の世代に譲ることは大事だろうと思うばかりです。40歳、50歳で若い人たちに助けてもらうようになって、60歳、70歳にもなれば、黙って助ける側に回れないと駄目だろうとどこの小さな商売を見ていても思います。

東京のデザイナーさんとお話しすると皆さんが20代、30代な感じ、分からないことも多いとは思いますが、それなりに決定権も持って仕事を進める力があるものです。だから、東京は優位性を保っていられるのだと思います。たとえば、力を出す場所もないままに40代になったときに、仕事を譲られたとしても、力のない40代が田舎者が相手にしてもらえるほど業界にしても甘くはないでしょう。田舎であっても若い頃から力を発揮できないと難しいだろうなあとほんと思います。

ヨジヨモン爺さんにしても、16歳ほどで近江上布の機元を立ち上げて、最高級の材料を使っての麻織物作り、ヨジヨモン爺さんの親父さんはお酒のみで、借金で家にはお金もなかったのに、ヨジヨモン爺さんが、若くして気を強く立ち上がったことがすべての勝因。年なんて仕事とは関係なく、昔から実力が大事ということ。また、周りもそれを支えたから当時大きな成功を収めることができたのだろうと思えます。

逆境というのは人を育てるもので、温室育ちというのは分からないまま。今の海外の若い人の能力というのは、新興諸国の人ですら日本人以上に能力が高い人が多い。戦後も、アメリカが日本を経済的脅威に思って、日本人のメンタリティを失わせるようにいろいろと法律まで欧米化して今ではほんと普通の国になってしまった。衣服というのは文化や価値観の象徴で、着物の文化を失ったときに、人々の心の中から日本らしさみたいなものは急速に薄らいでいった。

でも、面白いのは、ファッションのリネンの世界では案外日本というのがヨーロッパの人以上にその価値を評価しているということ。ヨーロッパの人が憧れるのが日本の合成繊維の世界だったりして、ヨーロッパはヨーロッパで大変だなあと思う。日本の本麻手もみをヨーロッパ人が評価できないのは、日本らしいということで、救いなのかもしれないと、そこに日本のものづくりが生きていると感じる。


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