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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

在庫調べ

2014年11月02日

今日は、午後から倉庫に入って在庫調べ、ひとつの倉庫の2階にいろんな生地が20万メートルほどあって、小さな反物もたくさんあるので、たぶん、1万種類以上の布があるだろう。そのほとんどが、麻関連素材。1Fには、昭和30年代から40年代の生地が、何百反かいろいろある。

麻がよいのは、昔の反物ほど今にない風格があることで、いろんな布が残っていることは、今のものづくりの参考になるし、過去につくったものがわかって、自社のものづくりの歴史というものが手に取るように判る。麻織物の本場なので、林与のことなのだが、産地のものづくりの集大成的な資料というだけでなく、戦後日本でどのような麻のものが作られたかの生きた資料でもあったりする。

生地だけでなく、別の倉庫には糸の在庫がこれもまた、昔の糸が残っているので、倉庫の布をつくるのにどんな糸を使ったのかの想像がついたりもするので、私が自社の生地を見ると、私が仕事に携わる前に作られた布でも、どの番手の何の糸でつくったのか、大体想像がつくものだ。

糸のなかには、私が管理していて売れ行きがよくなくなった糸で、最後ようやく先染の柄を糸を使い切るように作って、使い切って幸せだったのに、先代が、なくなったので、また、1トン1000万円ほどかけてつくっちゃった特殊な糸などあって、作ってからはやはりその糸を使った布は売れずまったく使っていないアチャーな糸もあって、よい時代の名残を感じたりする。何十年か仕事していれば、また、使えるときがきっと来るだろうと願う。なかには、手績みの糸も残っていたり、アイリッシュリネンの糸も残っていたり、近江上布のアーカイブや、昔の手機が何十台分も残っていたり、よいものも残っている。

なかなか昔のものづくりを辿ることはできないけど、林与には、近代以降の産地の麻織物の歴史が糸や反物の形で残っていて、今も麻を織り続けているので、そこがいいんじゃあないかなあと、自己満足。たぶん、近江湖東の豊国地域は、愛知秦氏は徐福の流れを汲んでいるといわれ、農耕が盛んで、日本でも有数の豊かな地域であっただけでなく、作られていた織物も一番くらいに繊細なものが織られていたのだろうと推測する。近江湖東地域に特色のある赤苧織物は、細美といわれていたものではなかったろうかと思うのだ。そういう歴史も、織機を産地で動かしていることで、形を変えながらもまだ微かに続いている気もし、機の音が止まったら終わりなのだろうと思う。


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