for English speakers: Welcome to HayashiyoWelcome to Hayashiyo
リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

画像: アイリッシュリネンを思う

アイリッシュリネンを思う

2009年06月30日

梅雨の合間に、昔に織って倉庫で寝かせてあったアイリッシュリネン糸で織り上げたキバタを洗いました。本物のアイリッシュリネン糸なので、水洗いだけで柔らかな仕上がりです。

不思議に思うのが、「アイリッシュリネン」と謳って、「アイリッシュリネン」が大量に販売されていることです。たぶん、アイリッシュリネンと謳えばよく売れると思われてでしょうが、買った人からすれば騙された後悔するに違いありません。残念ながら、アイルランドで紡績されたリネン糸というのはもう手に入りません。今販売されているアイリッシュリネンは、アイルランドで織られた布という意味か、イタリアもアイルランドもEUだと考えてアイリッシュリネンとよんだり、ある紡績会社の糸ならアイリッシュリネンだと思い込みだけで、アイリッシュリネンとして売っているケースがほとんどです。

昔のアイリッシュリネンといえば、北アイルランドで紡績された糸を使用したもので、機屋の憧れだったのですが、今では、北アイルランドでの紡績自体がなくなってしまったので、今の本国アイルランドでの定義はリネンテキスタイル・メイド・イン・アイルランドに変わりつつあり、糸の産地はどこでもよいということになって、アイルランドで織ったリネン織物というのが今の定義です。海外で売っているアイリッシュリネンは、偽装でないとすれば、糸はアイルランド以外で紡績され、輸入した糸をアイルランドで織ったリネン織物というものがほとんどということです。アイルランド産のリネン糸のほうは希少価値が増したのですが、アイルランド産の織物のほうは昔のような職人気質のものは少なくなり、量産タイプのものが大量にアイリッシュリネンとして出回る時代になり、もし希少価値を感じて買われていたらがっくりされると思います。

でも、リネンのよしあしは自分で決めるものですから、自分の目や手触りでよしあしを判断されることが大事だと思います。林与が、昔、アイリッシュリネンからイタリアンリネンへ移行したのも自分たちの情報と目と感覚で糸を判断し、イタリアンリネンの品質の高さを認めたからでした。そして、今、イタリアンリネンも本国生産が減少をはじめ、中国トップブランドのリネンとの有意な差がなくなり始めてきました。働き手が年を取ってくると解雇しない限り品質を守るのが難しいラインあるのです。

ちなみに、アイリッシュリネンの糸の昔の生成は金色っぽく柔らかかったです。元来の北アイルランド産のフラックスを使用して紡績していたんでしょうね。今のベルギーのコルトレイク産やフランスのフランダース地方の糸はグレーっぽいです。アイルランドでフラックスの生産が減少し、紡績が終了するまえにはベルギーやフランスから輸入するようになってしまっていたようです。イタリア紡績、中国紡績の生成の糸も良質なものの場合ベルギーやフランダース地方の糸を使用しているので、アイリッシュリネンと比較するとグレーっぽいです。

今日の画像は、シャトル織機に使う織筬です。


ホーム | ショッピングカート 特定商取引法表示 | ご利用案内