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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

広々

2015年06月26日

レピア織機4台の移動が本日終わって、工場の中がいつもよりも広々としてなぜかすがすがしい気分。この工場は織物工場だという基本的な頭があるけども、これほど丈夫につくられている工場の建物もあんがい珍しいのかもしれないなあと思える。建っているだけならあと100年でも持ちそうに思える。

今回の作業で感じたのは、織機というのは鉄の塊そのものだなあと思え、織機の脚一つの板が150kgとか、こんな丈夫なものを鉄くずとして鉄回収に出すのはもったいない気分になる。ジャガード織機にしても、一番の問題は、紋紙の問題と、ジャガードのカッターの部品の入手の問題。

織機一台の寿命のほうが、人が働く仕事人生よりも下手すれば長いのではなかろうかと思える。また、織物工場や会社というものも、人の人生のスパンよりも存在期間が短いことが普通だったりする。何十人と従業員のいる繊維関連の会社が地元でも2000年過ぎから経済というよりも外資を優遇した政治の風向き一つで消えていく、ガゾリンスタンドにしても時を同じくして昔ながらのところは淘汰されていった。

今の日本で織物を続けることなんて基本マイナスで普通にしていれば難しい話で、成り立たせるためには相当な無理が必要。ガソリンスタンドなんかは工夫にも限度があろうが、まだ、織物の世界にはものづくりの要素が含まれそういうのは救いがあり、そういう難しいなあと思えることを普通にこなせる現場の力があれば大丈夫だろう。

麻織物の企画の怖いところは落とし穴が潜んでいることが多々ある。予想もしない問題が生産工程で起きたりするので、そういうところがまだ経験のあることが生きる強みなのだろうなあと思える。残った2台のうちの1台のジャガード織機では、綿の高密度織物、1時間2時間織機が動き続けるので生産性は低くない。麻の細番手で十文字を織るとやはり織るのが難しく、1反を織るのにも何十倍も手間が掛かる。マイナスに思えることをプラスに転ずるから生き残れるのだろうと思う。


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