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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

スマートじゃないこと

2015年07月30日

今日は東京からのお客様。間接的なご縁もいただいているようで、驚くも、皆さんが期待下さってて、しっかりしないとなあと思う。

スマートなモノづくりを目指し無味乾燥になるよりは、スマートじゃないものづくりでいろんなこと被りながら熱くいるというのも、続けているとそれ自体が仕事というよりも、哲学的でつくるものの価値判断にも生きてくるだろうと思える。

産地にしても過去があってプラスを背負っている部分もあれば、マイナスを背負っている部分もある。でも、今日始まってのモノづくりじゃないあたりに惹かれて下さる方が多い。今日のお客様も林与の近江上布の見本切りに強く惹かれてくださった。また、普通じゃない硬い生機のリネンに惹かれてくださって商売を抜きに生地好きな方なのだなあと感じる。

先染織物を得意としている林与だったが、7年前から数年間、青の時代に似た平織り の無地を追求した時代があった。実は、それがすごく下積みになっている。織物の現場にいてもそういう賽の川原の石積みたいなことは経験できないだろうが、それを数年経験したことで、織物に対する目も変わった気がする。売れるものを追い求めるということがなくなり、自分の感覚を信じて自分がよい感じだなあと思えるものを作る。

まあまあ、そんな感覚で布を作っていてお客様にも恵まれて、いろんなことも経験しながらやっていけてるのだから続けていけるところまでまっすぐに続けてみようみたいなだけ。曲がることが多くなりすぎたときには自分の存在もマイナスとなり、そろそろ渡される引導が見えてきたときだろうと思う。

昔、ゴルフ好きだったお仕事でお付き合いのあった年配の方が、私の会社のゴルフの会を最後にゴルフをやめられた。そのときは、一緒の組で回らせてもらって、その方はなぜかほかの若い二人のゴルフにケチをつけられおかしな感じだなあと思っていたら、その方自身にとってもそれは駄目なことだったのだろう。そのすぐあとに趣味だったゴルフをやめられたと聞いて、やはりその方は正しい方だなあと思えた。

業界に入ったときから先輩ばかりで、産地でも続けていこうとしても廃業を余儀なくされた機屋さんなども多い中で、今なお若手の私が続けていけてるのは幸せなこと。ちょっとやそっとのことは乗り越えていかんと幸運の女神からも見放されるだろう。


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