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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

むすびそ

2015年11月11日

今日は奈良からのお客さま、ブランドの拠点を京都に引越しされるそうで、そこに落ちつかれるべく、古い家を改装中だそう。田舎というのはのどかに見えるが、精神的には都会のように自由じゃないのでややこしいことも多いだろう。本来は、田舎ほうが田舎の自由があってよいはずなのだが、変に田舎が画一化されてしまって、田舎のもののほうが束縛されてしまっている。あかんじゃないのか。

さて、工場の中、糸を結んだ結び目は最後鋏で切って処理をするのだが、縦糸用に整経するときにその結び目が長いのに気がついて延々と切る作業が続く。何十倍もの時間がかかって、しまうのだが、最後に問題のない良いものを作ろうとすれば、こういう結びそは、気がついた時点で処理しないとならない。

糸の紡績の段階というよりも、国内での作業している高齢のおじいさんの結びが大きい可能性が高く、そういう結び目の処理をするのもその糸を使う人の仕事になる。同時に、油糸のような汚れの問題が起こって、それを除去する仕事。紡績の段階での問題のようで、紡績の錐にトラブルが起こって、時折、10cmから1mくらいの一本の糸が汚れているのを、整経の作業の時点ですべて目視により取り除く。

これだけで、1時間で本来なら済む仕事が、二人で一日がかりの仕事に。どこの現場にもプロがいないというのが今日の現状で、こういうトラブルをしてきしても認めてはくれても、それを解決する手段すらがその人たちにはなく、ぴりぴりとした感覚で機屋がそういうものを片付けないとならない。

本来、材料には問題がないというのが基本だが、問題があるのを前提で技術や努力でカバーできるかできないかで、できることや、結果というものが大きく変わってくる。私には問題のあるまま、糸を作業して悪い生地をつくってしまうことはできないので、何十倍の時間を使ってそういう問題を解決するために手間を掛けていく。できない人はできない、できる人が片付けていくしかないのである。


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