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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

仕事欲

2017年04月13日

地元で機屋さんを営まれていた方が個人で食べていくために織物の企画販売をされている。先代世代の方で経験ももちろん一生の経験を持っておられるのだが、そういう70代、80代の方でもなかなか食べていくのが難しいという業界の厳しさ。70代、80代になられても、自分で仕事して食べていこうとされているところが、成り立つ成り立たないに関わらず、今の時代にそう言う人は少ないので私自身は立派だと思える。

近江湖東産地の機業の中では私が一番若いといわれているほどであるけども、何十年と仕事の経験のあられる方々が食べていくのに苦戦というのは、私自身、海外の展示会などで、林与に興味を示してアプローチくださる海外企業が、10年、20年で、リネンの巨大企業になっておられるのとはまったく逆であったりする。たとえば中国のブランドや企業の社長というと私と同世代の50歳くらいの方が多い。日本の場合には、何十年の皆さんでも食べていくのが難しくてというのも、私は仕事を生み出して与える側であり、与えられた人ができないときには私自身がその仕事をするので良く分かるのである。

仕事というのは自然にないときには生み出さないといけないし、あってもやらないと駄目。能力だけでなく、忍耐も必要で、材料を準備する資金も必要だし、材料を無駄にしない工夫も同じく必要で、使い終わった後の材料の管理も必要。織機も同じで、単に織るだけでなく、修理や調整が必要で、修理や調整をするために、部品や道具の管理も必要。ご飯を食べるとかは食欲というものが働くが、仕事欲みたいなものが働く人でないと仕事は難しい。

今日は、夕方、大阪の服飾専門学校の先生が弊社にお越しくださり素材をピックアップくださった。社会全体では人手不足感があっても、繊維関連はそれほど就職がよい状況でもないというのが実情のよう、大手のアパレルなどですらかつてないほどの苦戦中ではある。専門学校で勉強した学生たちが業界で通用していくためにはよほどの覚悟がないと難しいだろうと感じる。というのは、私も、何十年の経験の人にしても、学生の新卒の人も同じ土俵に立っていて、先輩も後輩もない。仕事をできる人が残るだけだろうから、残っているから楽というわけでもなく、残るために目の前にある仕事を日々乗り越えないといけないのは経験者も新人も、経験の長さに関係なく同じだろう。


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