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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

先染ブーム到来???

2018年05月05日

だれもが信じないだろうけども先染ブームが来るのだろうか。私の中の定義では、先染ブームというのは自然に起こりえることはなく、一般の方が目に触れやすいテレビメディアでのチェック柄の露出があるかないかに掛かっていると思う。昔ならチェッカーズ、アムロナミエ、AKBもチェックのスカートなので若干は背負っているか。テレビをほとんどみないので分からんが、そんなに人気のある歌手や俳優、グループがチェック柄を一般にPRしているのだろうか。

無地ライクが飽きられているといえば飽きられている。一つの要素は、東京や京都はバブル気味なところ。先染織物というのは基本後染とくらべると何倍もコストが掛かるので、バブル気味なことがファッションの幅を広げている影響があるのかもしれない。

林与という会社は、着物から甚平生地を経て、レピア織機を導入してアパレル生地生産になったときから、日本の麻の先染織物では一番ほどに強かった会社なので、先染ブームは本領を発揮できるのでベリーウェルカムなのだが、先染というのは基本見本がないとオリジナルは作り上げにくいので、その辺りが難しいところ。サンプルをすれば、本生産と2回でコストが基本2倍近くになる。カウンター見本をベースに、小ロットなら本生産一発勝負が一番よいのではなかろうかと思える。

機屋というのは、見本で仮に本生産と同じお金をいただいても、作業が全部同じなので、見本の生産でも小ロットの本生産でも掛かるコストはほとんど同じで、見本のときはさらに本生産を想定するために迷う部分を解決しないといけなく、機をつくったり作業も規格に落とし込むための試行錯誤がある。今は300mくらいからが経済ロットになりやすい感じではあるが、アパレルの着分などの生産は、3mの生産でも、原材料代、染代、加工代、そして内部の人件費を含むと、10万円を越してしまうことがよくある。外に払う費用5万円、中の費用5万円くらいというのが見本に掛かる費用であることが多い。

機屋で、ものづくりできる機屋というのはそういうコストが使えないとものづくりが続かないので潰れてしまいやすい。逆に見本をまったくつくらない賃機的な機屋さんのほうが1m織って100円、200円の世界でも生き残りやすいのである。このあたりが勘違いされやすくって、デザインすれば機屋が生き残れるというのは先染織物だと難しいところ。無地の布より先染の布が同じ量流れて何倍も高いのが通用すれば成り立つけど。通常は無地の布は多く安定的に流れ、先染めのものは見本倒れまであり仕事して弱って行くということも多い。

無地の生地にくらべると、展開として先染は魅力なのだが、先染織物に対する評価はコストに見合ったまでの評価をいただけていないということはあるだろう。また、チェック柄などは、印象が強いので、いろんなチェック柄を着こなせるようなセレブとか趣味がゴルフとかの世界の方々に通じる気がする。昔は、先染めに留まらず、ジャガードや昼夜、二重ビーム、刺し子、など技術をいろいろと見せることができたが、今は、小ロット生産の費用が外部も人件費の高騰で加速し、通常の無地の定番生地の5倍とかコストが掛かるようになってしまっている。先染ブームが来たとしても利益を期待するような流れでもなく、生産体系からすると先染織物の文化を残して行くという流れであろう。

デザインを見せるにはプリントという技法がそれなりには展開しやすい技法で、先染にまで行くよりプリントという辺りで落ち着くのが、今のデザインの落としどころではないだろうか。売れるベースをプリントの新しい柄で毎年展開して行くという形。林与はプリント工場ではないので、そのあたりあまり得意じゃないけど、上手に展開されているところはデザイン画をそのままプリントで生地の形にして、洋服やインテリア、小物向け素材を提案されたり活用されている。

テキスタイルにおいてもテキスタイルをデザインするという世界は20年前でもいろんなアパレルや問屋さんに残っていたけど、そのデザインされたテキスタイルを生産する現場というのは20前でもすでに見つけることは難しくなっていた。20年たった今、デザインされたテキスタイルを生産するということが、さらに難しくなってしまっていて、アジアの国だと小学生が学校から帰って大人の手伝いでつくっている先染め織物が、日本だと大人がたくさんよっても生産することが難しくなってしまっている。


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