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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

糸の送出

2018年10月20日

ビームの送りがぎこちない織機があるので、それを調整。通常だとギアが回るとビームの送りも安定して回る。何が原因なのか判らないまま、とりあえず、送りの機構周辺のカバーを外し掃除をしてみる。本来は、麻のワタ埃程度では影響はないはずなのだが、とりあえず、ゴミと思われるものを徹底的に取り除く。この織機は2年ほど前に移設してきたものだが、問題を解決しようとすると職人さんの限界や苦悩みたいなものが伝わってくる。きっと、問題には気がついておられただろうけども、原因が分からずのまま悩んでおられたのではないかと。

以前、別の工場からの織機も、その工場に入って20年、一度も動いたことがないといわれていたのも良く分かる。その織機も、林与に来て、動かそうとするがなかなか職人さんに見てもらうも原因が分からず動かないまま。納期が迫ってきたので、私が時間を見つけてみることに、これは職人さんでは問題を見つけるのが難しいだろうと思えるような、すべての機械の部品が付いていて動いてはいるけども、その部品の一つが機能すべき役割を果たしていないという問題。それも送り出しの問題だった。糸の送出の機構というのは職人さんでもなかなか理解がし難いと思う。

その織機は付いている部品の穴の直径が1mmから2mm大きいだけでそこで動きが遮断されてしまうとか。その1mmとか2mmで、ラチェットをうまく押し出さないとか。そこは本来調整箇所ではないのだ。別の工場で20年動かなかったその織機というのも、そのさらに前の工場で動かなくなって修理できずに放出され前の工場に中古で買われたのだろう。そして私の工場に巡ってきた。そんな織機が巡ってきて動かないとその工場は立ち行かなくなる。

私も時間があれば、自分が織機を動かして調整を掛けて行くので織機の調子をどんどんと上げて行くことができるが、普通は織機を動かしている人は調子が悪い織機でも悪いままに動かして、織機の問題が布の問題となって表れたり、必要以上に織機が消耗したり、シャトルを挟んで壊したり、織る人は織機が悪いと結論付けるけども織機に調整を掛けるのも自動で織機が織物を織るようになったのだから織る人の仕事だろうと思う。昔は織り子さんとよばれる織るだけの人が存在したが、もう織り子さんという存在だけでは、織りの現場には残ることは難しくなっていると思う。


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