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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

多賀大社

2019年12月30日

久しぶりに多賀大社。お客さんが4名来られて、名物のそば?を食べた。お腹が空いていたので大盛りを食べたかったがやってないということ、味は濃いめのダシが効いていて五臓六腑に染み渡る感じだが、そこに七味をたっぷりと掛けて食べた後の恍惚感が良い。そのあと甲良のお肉屋さん、お客んたちが肉を物色される、京都で焼き肉&しゃぶしゃぶを計画されているようである。きっとすごく豪華な夕食になるだろう。近江牛の特色は霜降りなのだが、今は油は好まれない傾向があって、赤身に近い肉を好まれる方が多い。

お越しになられたお客さんのお一人が生地屋さん経由で弊社で織っている布を製品に使われているということで、世間というのは狭いものだなあと思いながらも、細番手の麻の先染めを織ることができる会社というのも全国でも限られていることも事実ではある。林与に来られたお客さんがリネンのデニム生地みて驚かれる方が多い。リネンのデニム生地というのは、私が仕事を始めたころには無理な織物の一つだったけども、今は普通に織っている。しかも、加工すると16オンス級。高密度に織るのは難しいだけでなく、糸の値段、染の値段だけで綿の世界の5倍から10倍なので、普通は商売としては成り立ちにくい生地の一つ。ほかにも興味を示された記事がアイリッシュリネンや、現行の150番手生地など。現行の150番手リネンをしっかりと織りあげたものに出会えることというのは稀だろうと思う。生産するのに覚悟の必要な麻織物たちである。

細番手の麻糸というのは非常に高価なだけでなく、扱いにくいという問題が伴っている。良い糸なのにゴミと化してしまうリスクも高いので、そういうリスクを承知で100万コースをドンキホーテーできる覚悟がないといけなくて、林与も普通の堅実な仕事で余力を作ってそういう冒険をするようにしている。夢のようなモノづくりというのは頭で考えるのは自由でもいざ実行に移そうとすると、お金使って苦労を背負い込むような部分。そういうのやると人生観も変わってくるし、ものづくりに対する感覚も普通とは違うレベルになってくる。仕事をお金儲けのためにするというよりも、自分がお金を使ってでもやりたいことを仕事で実現するみたいなあたり。今の日本で普通の仕事感覚でものづくりをしてもなかなかものづくりに対する共感も得られないだろうと思う。

織物に関して言えば設備で解決する織物もあるかもしれないが、人の力が込められたよふつうをもとめうな織物に人は惹きつけられるものであろうかと思う。糸や素材や技術にこだわらなくても、人という要素を詰め込めばデザイン性などで人を魅了することも可能だろう。印象派の絵のほうが画家の頭の中の世界を描画できていて面白いんだろうと思う。この人は人生観からして違うなあという要素があるからその人が作るものに価値が生まれる。林与にしても田舎の機屋でしかないのだから、それを勘違いしたらだめで、成りあがってしまってては成り立たないのが当たり前という緊張感が必要。


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