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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

布の企画

2020年09月23日

布を企画したい人が布をつくる現場を知れば分かることが多いだろうと思うが、実際に布を作る現場を経験することのない人がほとんどで、布の価値がどこで生まれるのか分からないだろうと思う。実際に布をつくることになると本当に子供なのである。

あるテキスタイルデザイナーの方が、林与に来られて現場をみられたときに、糸のつなぎ方を教えたことがあって、普通はそういうのも知らないままに先生が多く、そういうのを教えられたときに、先生というのは逆にそういう基本を教えられるのを嫌がるだろうけども、その方は自分ができるようになるまで素直に尋ねて努力され、優秀な生徒そのものの姿勢でもちろんできるようになられた。そのときに思ったのはこの人は評判だけでなく本当に素直に布の世界を知りたい人だなあと。著名なテキスタイルデザイナーでもあり、大学の先生もされていても、学生のように素直に糸の結び方を学ぼうとされる。

たぶん林与くらいだろうと思う、そういう有名なテキスタイルデザイナーの人にあっても、そういう織物や繊維の基本を教えようとするのは、そういうのが布を作る基本で、そこから布の価値が始まる。

立場が違えば糸の結び方なんてどうでもよいことだろうけども、そういう基本を知ろうとする姿勢が大事で、基本の中に本質が詰まっていたりするものである。この機結び、縦繋ぎなどできなければ布を修理したりもできないだろう。布の世界にいながらも布に手間や時間を使う気持ちを忘れたり、それを軽んじては、布に本質的な価値を詰めるは難しいだろう。

布を自分でつくることもできないというのはありえないと思うのだが、そういうのが今は普通になってしまって、海外生産や海外人材なのだろう。布を自分で作るところに価値観もあるのだが、それを自分でできる人というのは日本では本当に少なくなっている。

基本の糸の結び方などを教えようとしても覚える気もない人というのは糸編の仕事には向いていないだろうと思う。でも、そういう人が日本の糸編の世界ではあふれていたりするので、どんどんと日本の繊維産業も衰退していくんだろうと思える。


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