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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

日本の亜麻

2020年10月28日

以前、日本の亜麻栽培の事を少し調べたことがあって、軍需や資材向けに亜麻が北海道で栽培されていたことはしってはいた。また、最近のことになるが亜麻実油を取る目的で、北海道で亜麻の生産があることも聞いてはいた。

数年前に、北海道で亜麻を育てておられる方が、亜麻を紡績するのを日本で出来ないかという相談を受けたのだけども、アパレル向けの亜麻糸というのは、できないこともないだろうけども、コスト面で生産量もすくないから、海外の5倍とかの値段になってしまうのも普通だろう。それをやられるとその人の地道な活動が成り立たなくなる話で、いくつかの方面はご紹介したけども、紡績は海外でやるのが普通にはやはりコスト面での優位性がある。

今日、12月の会社訪問の件の事前打ち合わせで、北海道で亜麻を育てて糸を紡いで自分で織られて作品を販売されておられる方の存在を知った。日本も明治になるまでは、そういうのも普通で、自分で糸を績んで、織って、家族の着るものを作るというのが、農家の人だったら冬場の仕事として出来たりした。そういうのを今の人がするというのは成り立たせてゆくのは大変なことだろうなあと思うが、そういうものづくりを求める人というのは多いだろう。京都与謝野でも、自分で綿花を育てて糸にして織物にされている方にお出会いしたけども、どれだけ時間があっても足りないだろうなあと思える世界である。麻組合さんでも手績みの糸を作られるところからやっておられたりするので、時間との戦いを覚悟して、出来上がったものにしても売るのがもったいないと思えるくらいの話だと思う。作った人が一番その価値を感じていて、そういう価値を理解できる人に買って使ってもらうのが一番だろう。

私自身も、日ごろの頂いている仕事に追われているけども、時間ができれば林与の近江上布絣柄の広幅ブロジェクトをまた手掛けてみたいものだと思っている。数年前にやった広幅プロジェクトも、型紙彫るところから捺染して織りあげるまで1柄2日でやるとか。それよりも、染を覚えたり道具を作るのに試行錯誤したり。どっぷりと浸れば他にないものが自分の手から生まれてくる。

イタリアや中国の展示会で、自分の手でつくったものを展示していると、今はファッションの世界というのはデザインだみたいなところがあるけども、デザインだけじゃなく人の力を感じる布みたいな要素を感じてもらえるものである。


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