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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

綿と棉

2021年12月19日

ワタには2通りあるの意識されている人はほとんどないだろう。ワタといえば綿と書いて、コットンボールからできる綿の糸みたいなのが普通のいめーじだろう。私も繊維業界に入って、そういう綿のイメージをもっていたけども。元来、ワタというものには、何通りもあって、日本では打綿するという技術がは立つしていた。東円堂にもふとん屋さんと呼ばれる家があるけども、そのお家は布団綿を打綿するのが仕事のお家だったからそう呼ばれていた。

近江真綿というのは、コットンではなくてシルクを打面してつくる綿。蚕の繭を打面して引き延ばしてそれを何層にも重ねて布団綿にする。古来からの高級なお布団の綿の作り方。安価なものは何が使われたかというとシルクではなく、大麻の繊維を打面して布団ワタがつくられた。戦国時代にコットンは日本に入ってきたとされてはいるけども、それまではワタといえば、シルクか大麻を打綿したものがほとんどだったろう。妙とよばれるものも、もともとは、多重から変化していると思われ、シルクを打綿して引き延ばして重ねたものをニギタエ、大麻を打綿して重ねたものをアラタエとよんだところから、織物に変わっても、絹織物がニギタエ、麻織物がアラタエという風に呼ばれてつづけたのだろうと私は考えている。ニギタエは、目の詰まったにぎわった妙で、アラタエは、粗妙で、それを上品にシカは散らばっているので、麤妙という文字が当てられ、鹿の皮という意味ではないだろうと思う。

今は天然繊維を打綿してふっくらとさせて使うのは、天然繊維ではコットンくらいだろうけども、昔はいろんな繊維が打綿して使われた。現代では織物のほかに、不織布というのも幅広く使われていて、それが現代の打綿技術の結晶ではないのかと思える。打綿で膨らませるというよりもニードルパンチ的な技術何だろうけど。能登川地域にもツジトミさんや日本不織布さんなどがあって、繊維業としてはそちらのほうが今は規模は大きいのだろう。不織布ももう古いと20年ほど前にツジトミの社長が言っておられた。新しい素材や代替技術を追い求める、外の世界からすると麻織物を続けているというのは昔ながら続いてきたことを残しているという、日本で昔ながらの農業を続けるみたいな感覚に近いのだろう。

コロナ以前に、大阪のてづくりフェスタにいったときも、大会委員長が清水惣さんでもともと湖東産地の方、多角的に衣料全般のグローバル企業として展開をされている。林与が参加させて頂いているのをしって顔を見に来てくださったが、時代に合わせて変化し成長するスタイルを続けておられるのを感じる。林与の存在意義的なものを考えると、麻織物の産地での麻織物の変わらぬ価値観をどう残して行くか、生み出して行くかの当たりなんだろうなあと思う。林与だけではないけども、産地でそれぞれがやっていることが結局産地のものづくりの特色となってきたのだしなっていくのだから。


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