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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

青土さん

2022年03月27日

今日は、京都から青土さんが来られて一つの企画案件のほかに中国の手績みの糸の話など。この2年ほどは中国に行っておられないというお話。いけないことはないのだけども、行くと隔離期間がある可能性も高く、その隔離がはっきりと見えないと出発前に往復の飛行機もホテルも取ることすらも難しいだろう。

中国の手機の様子を見せてもらったけども、シャトル織機の半分くらいのスピードで織っている熟練の女性の方は何センチも安定した動きでおられているのだけども、現地での昔ながらの生産としてはそれで良いのかもしれないけども、日本的な品質レベルに高めるようなやりとりをされておられるのが青土さんだということ。

あと、おいしい中国の郷土料理と織物のこだわりとの関係なども、現地でもうけ感覚とは違う探究心的なものをもった人が一人おられることでその世界が成り立っているようなお話。私も中国の展示会いったときに、一般の商売ベースの方のほかに、とことんなモノづくりを求めたいと思っておられるような方が企業経営者としてまたアーティストやクリエーターとしておられたりするのを感じた。

私も普段は料理をつくらないけども、すき焼きとか料理をつくるときにはお店の商売レベルとは違う、昔ながらの地元の人が愛したようなすき焼きの世界が林与の中にあったりして、それは普通のお店では食べることのできないレベル。林与の家でも昔は鳥すきなんかをつくるときには、もう廃業された鳥信さんの出汁をつかって地鶏でも別途に取り寄せて豪華にして好きなだけ食べてもらうのが流儀だったりした。

本当に家で漬けた鮒ずしの味を知っているが、風邪をひくと、鮒ずしを茶づけのようにしてこれを食べたら風邪が治るといわれても、頭もぼーっとしていても、その鮒ずしを我慢して食べるくらいなら風邪なんてへっちゃらなレベル。今の匂いのしない鮒ずしというのはお手軽鮒ずしで、本当の鮒ずしというのは普通の人からすると絶対に食べるのは無理というか、そういう本物の鮒ずしがおみやげ物で売られたりすると新幹線が止まるような話も普通だと思う。常識を超えたところがある。もうあの臭さの鮒ずしに出会えることはないだろう。当時の家で漬ける鮒ずしというのも相当高価なもので、鮒ずしの業者が春過ぎに林与に回って来て漬けてくれて、途中で魚を洗ってコメを入れ替えして毎年正月前に出来上がっていたのを覚えていて、お客さんに家で漬けた鮒ずしを振舞うのが最高のもてなし。集落でも数軒しかできなかった贅沢だったと思う。40年以上前でも、それなりに大きなヘラブナだけど自分でコメも出して、魚代と仕込み料で、1kgだか1匹だか1万円とかもかかるというのも当時も聞いてすごい贅沢な食べ物なんだなあと漬けるのや途中の洗うのを手伝ったりしていた。一度に一樽に8匹くらいはつけてもらっていただろう。

しかし、子供のころの私からすると床のしたから臭い魚が出てきてそれを食べないといけないのが、漬物とは違って気持ち悪い怖さがあった。すき焼きと並んで鮒ずしは近江の特産で、林与の麻織物もそういう近江の特産の世界の一つというだけのこと。今でもあの最高に臭い鮒ずしをつけてくれる鮒ずし屋が残っているのだろうか、親戚の家で漬けた鮒ずしはおいしかったがあの鮒ずしの臭さはなかった。ああいう古来のなれずし的な臭さをおいしいと思えるのが本当の食通なのだろうなあと思う。君の名は、の口神酒に近い世界。


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