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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

織れる織れない

2022年05月21日

今日は1週間ほど耳そばの糸切れに苦戦していた織物がまた順調に織れ始めた、織機の設定はまったく同じなのに、ギリギリの微妙なバランスで成り立っている織物なので、織出しの仕方次第で織れたり織れなかったりするのである。もう、ここまでくると魔境で、織れないからといって、織機の設定をいろいろといじってしまうと織れるバランスに合っている設定がズレていく。

良い糸を使うこと、あおりの大きさや、ビームのテンション、開口のタイミング、ドロッパーの高さ、ソウコウ枠の高さ、シャトルのスピード、杼箱のテンション、シャトルの重さ、シャトルのゴムの強さ、筬の左右の位置、織るスピード、耳のコマのテンション、耳際の糸の通し方、テンプルの噛み具合など、バランスを保ってなんとか織れていて、一つどれかが駄目だと耳際が切れて切れて織れなくなる。本来だとシャトル織機というのはある程度スピードを付けて織ってあげるくらいがシャトルの通りもよくって良いのだけども、耳までリネンという規格だとあまりスピードを上げると極端に食い込んだりすることもあって1分90回転くらいの低速で織る。

耳が切れるのが織機の設定の問題じゃなくって整経の問題だったりすることもあって、整経というのはビームに糸が巻けていればよいというのではなくって、均等に均一に巻けていないと糸のテンションが変わったりしてくる。織物を織っているのだけども、織物を織っているというよりも、耳までリネンにして自分を追い込んでいるようなところもあったりする。耳なんて使わないんだからどうでもよいんじゃないのという考えもあるかもしれないけども、耳がそのまま使えることで、今の時代の資源を無駄にしないというところも達成できるし、また、昔、織物を使ったときのような世界のモノづくりに近いモノづくりが出来る。たとえば昔のハンカチやキッチンクロスは四辺でなく上下だけ三巻だったとか。だから、林与のシャトル織キッチンクロスは上下打鍵縫製。

なぜシャトル織機の織物が上等に見えるのかは開口が広いということがいわれ、それも一つの要素だが、私が思うのは、横糸がノーテンションでゆったりと角度を持って織り込まれることがあるというのがレピア織機とは異なるところ。まあ、加工してしまうと縦方向に引っ張るので、その差は縮まるのだが生機をみているとレピアで織ったものとシャトル織機で織ったものの違いはある。シャトル織機で織りあげたものは耳の渡がぐちゃぐちゃなのをはさみでひとつづつカットしてきれいな反物に仕上がる。耳を切る作業を一つ一つやって、ぐちゃぐちゃな反物が綺麗に仕上がるので、だから余計にいとおしく見えるのかもしれない。小さな1cmくらいの耳までリネンのギンガムチック柄で、耳までリネン時はほんと耳のカットの処理だけで織る以上に手間が掛かることがある。

耳糸はリネン100%の織物でもなぜ綿糸を使うのが普通なのかというあたりも耳までリネン100%の織物というのは難しいという問題があるから、綿糸も単糸ではなく双糸を使うのが普通。双糸を使うことで伸度をもたせることが大事なところ。




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