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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

布が与える感動

2023年07月11日

先月の百貨店イベントで、初日に一番最初に来てくださったお客さまがキッチンクロスをお買い上げいただき、その数日あとにもう一度お越しくださって、使ってみて、本当に良かったので友達にもプレゼントしたいといって追加で買ってくださった。今日も、百貨店イベントでお会いしたお客様が、キッチンクロスが良かったのでどこかで手に入らないのかというようなお話。

布というのはすごいなあと思う。人々を惹きつけるような要素を持っているのを感じる。コロナ前には海外の展示会に行っても、言葉が通じなくても布が言葉みたいなもので、多くの海外のデザイナーさんたちとの出会いが生まれる。パリの展示会に行ったときにも、最初のお客様というのが、ベルギーの天然繊維にこだわるデザイナーの方で、ベルギーのリネンのことも聞きたかったので1時間くらいは雑談させていただいたのだけども、ベルギーではアパレル用の良いリネンがみつけられないといっておられた。えっつ、って感じ。林与の生地をみて、良い布をみることができて今日は一日幸せだと何度も何度も言ってくださってた。

林与がちょうどアイリッシュリネンプロジェクトをやっていた時だったので、お出会いの記念に1枚、アイリッシュリネンハンカチをプレゼントさせていただいた。林与自身がすごく思い入れをもって織ってハンカチに仕上げたもので、1枚の小さな布をハンカチにしたものでしかないけども、その布というのは布に思いをもった人からするとずーっと探し求めていたような布との特別な出会いになるのかもしれないと。

リネンのストールプロジェクトなども、海外の展示会では発表をさせていただいて、細番手リネンの織り成す柔らかリネンストールを世界に提案した。また、リネンデニムプロジェクトも林与がこだわる世界の一つで、リネンでは不可能だと思われていた綿のようなデニムをリネン生地で織りあげ国内や海外の展示会で発表した。

一つの布を開発する時には3年くらいは時間を使うことが多く、一番最初に絶対に織るのが難しいような規格から入って、それをどこまで織れるように持っていくのかという試行錯誤、織ると並行しながら生地を加工して製品化までしてみて、面白いか面白くないか、一見してその製品にときめきがあるのかないのかを検証する。開発中の商品は事務所に転がっていることが多く、なんどもなんども見る、その時に良い感じなのかどうか。

リネンキッチンクロス、アイリッシュリネン、リネンデニム、リネンストール、それらの生地は、自分が、いつ見てもそれなりにいい感じで、それぞれがそれぞれに特徴もあって、布が私に語り掛けるようなところがある。林与の布ロゴ看板も展示会の荷物に紛れてどっかいっちゃったけども、あれも、ほんと語り掛ける創作物で、あれは初めての展示会の前日に、生地ハンガーはあるけども、ブースどうしようかというのを思って、半日掛かりでつくりあげた。そのブースに看板を飾ったのだけども、ほかのスタイリッシュなブーストは違って、手づくりっぽいインパクトが強すぎてなんか笑えて。あのロゴは与一爺さんがつくって近江上布の着物の箱に印刷してたもので、それを私がまた使い始めたこともストーリー的には面白いんではないだろうか。ある海外の大きな展示会でも林与のブースにこられた方が、展示会で一番いいものを見つけたといわれて他の人にも見にくるように電話されてたが、それが林与のロゴ看板だったりもあった。林与の名刺とか会社案内とかも15年ほど前に自作したものを今も使い続けていて、手づくり精神はそういうところにもある。

林与のものづくりが、その道のプロの人も感動を与えることがあって、ある展示会では藍染の工房さんが出展されていたのだけども、ちょうどその時に林与が麻の藍染プロジェクトをやっていたので、本藍で完璧なまでに濃紺に染められたリネンがその工房の方には刺激的すぎたみたいで、感動を受けたということでほんの少しで良いからサンプル生地を分けてほしいと真似ができるようなものでもないのでお分けしたことがあった。海外の展示会で藍染の展示をみられたオーストラリアのデザイナーの方が、仕事の話じゃなくて自分のものとして本当にほしいと思われて展示会で一番気に入ったものだったのだろう。林与が作った布を、布のプロたちが自分用の私物として買いたいと思っていただけるというのはありがたいことである。展示会に来た記念のお土産に林与のストールを買ってくださる世界各国の出展者や来場者の方も多い。


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