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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

定番の生地

2023年09月25日

定番の生成を織るためには糸の色味が安定した生成糸が必要なわけですが、今の現状は糸の色味の安定したロットの糸を探しているような状況で、L25番手の生成在庫が残っている以外は、L40番手クラス、L66番手クラス生成の生産の目途が立っていない。今年手に入れた、安定した品質の銘柄ということで定評のあるL25番手の生成にしても5mから10m織るごとにかなりはっきりとしたオーガニック糸にときおりみられるような1cm程度の白い帯のようなものが見受けられ、昨年度取れた原料というものが生成に関してはかなり不安定であることを心配している。

今年度の作柄に期待して来年の紡績が始まり3月くらいの初物を待つのが良いのではなかろうかと思ったり、L40はハニカム生産用に数年前に確保した分が120kgほどあるので、その半分を定番用に回すこともできるけども、そのロットの糸もまだ色ムラなどの問題があるかどうかのテストが出来ていない状況。生成主体のアパレルさんなどは、どうやって今の状況を乗り越えられておられるのだろうか、糸商さん関係は、生成と謳わないで、生成りに近い色に染めて生成りっぽい生地で代用をされているところもあるようである。

糸値が高騰している中で、生産しても危険がともなうような状況で、一番くらいにベーシックなリネンの生成の生産が糸の問題で難しいというのも非常に困った話。ベーシックであるとは言いながらも、20年くらい前は普通だった生成の色の安定性というものは、今手に入る糸ではもう保証はされておらず、箱から出した糸をそのまま整経してしまうと縦の色ムラで全没になることも多く、同じ糸の生産ロットでも箱ごとに1ロットと考えて、整経も散らしながら使っていたりする。シャトル織機で使う横糸もシャトル織機では管ごとに色ムラになりやすいので、その問題を避けるために糸の管理を注意していたりする。

糸というのは紡績できればそれでよいというのではなくて織物にしたときに問題がないことが大事で、糸商さんにしてもこういう問題を糸が抱えてしまっているときにお客さんとの対応というのは大変なことだろうと思える。紡績工場においては同じ番手でもオフ白より生成のほうがやや値段が高いというのが普通だったりして、紡績工場においても普段から色味のコントロールに関しては苦戦もされているのだろう。

生成と呼ばれるものは匂いだと気に藁のようなにおいのする生成があるがそれが無漂白の生成。一般に生成と呼ばれるものはややマイルドな色味をしていて、その理由は8分の1晒と呼ばれる漂白が掛かっていることが普通。アパレル向けなどはそういう糸でないと藁っぽい匂いで使えない。たまにウォーターレッティングの糸なども匂うことがある。色がゴールド味で、藁のようなにおいがするなら、まったく晒を掛けていない生成りだろう。

そういえは廃番になったエジプトのウォーターレッティングの生成もたしか在庫がどこかに300kgほどあったはず、その糸も強度が普通よりも弱く、あと糸の色ムラが強烈なので、使う時には非常に注意が必要で、注意していても縦にややすじばった感じがみられるけど、もうそれはその糸の味としてとらえていただくしかない。糸自体が非常にナチュラルな作り方で品質を安定させきれていないんだろうけども、そういうコンセプトというのもよいことだろうとは思うがアパレル向けに使うとかは非常に厳しかった糸。でも、アパレル向けにシャトルで織ってその味を楽しんでもらいたいと思って糸の国内在庫の残りを買った。昔、ネスカフェゴールドブレンドのTVCMに山本寛斎さんだかがでてて、子供ながらにインスタントコーヒーのすごさを植え付けられて、今もインスタントコーヒーで十分で、しいての好みは、ブラックで飲むキリマンジャロの酸っぱい系のテイストが一番好きなので、結局林与のコーヒーのテイストにしても、今は本当に希少になったキリマンジャロが自分の口になじんでたとかは、一般の高級テイストと整合するように出来上がってはいる。

もう10年以上前になるだろうか、リネンバードさんの10周年記念のトーションのグリンのストライプの生成部分はその特別な生成を使い、ネイビーストライプの生成りはグレーの通常のデゥーレッティングの生成を使わせていただいた。グリンのほうが織るの何倍も大変だった。でもそういう特別なシチュエーションに使っていただくようなものは他ではやらないような発想の特に苦労するような布が良いと思って、糸ももう残っているだけで次の予定はないということを聞き、残りの糸はとりあえず買っておいた。


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