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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

空屋問題

2024年04月10日

全国の田舎では空き家問題がこれからさらに加速してくるとは思うが、空き家問題を解決するためには、後継者がいない場合には、家を相続せずに片付けるようなことが必要で、それを自分が死ぬ前にやらないといけない。すなわち、先祖代々の仏壇やお墓もしまっておかないといけないことになるし、死ぬ時には別のところで死なないといけない話になる。

これが今の空屋問題の根本的な問題。田舎に家を持って都会暮らししているなら、田舎の家を処分するは普通の話だけども、田舎の跡継ぎの無い家が家を処分するは先祖代々の家の歴史を閉じる話で、空家が増えて困るからというだけで、軽く考えられる問題ではなかったりする。

生まれ育った家で死ぬことができてが普通だと思うけど、空き家対策のために、死ぬときは別の場所で死ぬのがきれいな死に方みたいなのでは、本当によいことなのだろうか。都市部だと周りが干渉することもなく、ごく自然にそういう問題も行政が解決をしてゆくような話になるのだけども、田舎だと、行政が対応も出来ずに放置で法定相続人がどんどんと増えて、さらに解決が難しい問題になる。

昔だと、周囲に住んでいる誰かがそういう物件を買うか、面倒を見る形で解決してきたのだけども、今の時代にそいうのをやれる家というのは少なくなってきてしまっている。自分の住む環境を守るために出ていく人の家を買うというのは覚悟の入る話だけども、昔はそういうのが普通だった。今は家を建て壊す費用も高くなって、建て壊したとしても土地を売ることも期待できないし、固定資産税だけが延々と掛かってきてしまう。

愛知川の商店街もお店は閉じたところが多く、ウナギの寝床のような奥に長い形で、砂利で敷き詰められた空き地がいたるところにできている。立地的に、それほど悪くないような場所でもそんな状態で、新しい人がそういう場所に入って生活をするということは非常に難しいことだろうと思う。

結局、田舎での空き家対策での家じまいは、村じまい、町じまいにつながる形で、過去からの文化や伝統的なことの一切を過去の歴史として葬るころになって、全滅したときにディベロッパーが再開発をするためのロードマップということになる。それも一つの考え方だけども、空き家対策というのは都会よりも田舎のほうが越権行為的に行われるために、村を村じまいに至らせる要因になってしまうだろう。

限界集落と呼ばれる集落が、廃村にならないためには、村の掟みたいなものを無くすことが大事なのだけども、そういうのをなくすことは本当に難しいことで、都会のような感覚になれば、若い人たちも残りやすいだろうと思うけど、田舎ほど人間関係を重んじる人が多く、同じように、繊維業界も人間関係を重んじる人が多く、結局、社会の流れに適応できずに衰退してしまう。林与も先代が古いタイプの人だったので、問屋さん商売を大事にしていたけども、林与と取引のあった京都の問屋さんはこの20年ですべて繊維からは撤退されて不動産業に業種を替えられたりして残っておられるところは残られている。

形を変えることができれば残れる可能性もあるし、そこにいつづけることも出来るのだけども、昔からの形に固執してしまうと終わりは早いもので、外の変化に敏感に対応しながら自分自身の考えで残れるような決断をしてゆくべきだろうと思う。一方で、林与のようなタイプは、古いことを続けるために覚悟を決めて広く深くこなして行くことで、分業でやっていたことを、一人でも全部背負う形で乗り越えてゆくみたいなスタイル。夏の前くらいまでは忙しいのが続きそうだけども、落ち着いたら洋服をつくることも始めようかと思う。1点ものから。


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