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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

35年前のオイルショック

2011年01月12日

昨日、弊社に残るアイリッシュリネンに関しまして当時のことを知る方とお話しました。当時はオイルショックのころで、狂乱物価で、全てが値上がりしている風潮にあり、良いものが作れなくなるということで、モノづくりをしている人たちは、繊維業界だけに限らず製造業全般の人が、良い材料を買い求めに走ったということです。

私自身は、30年ほどの麻ブームのときに買ったものかと思っておりましたが、30年ほどの前の日本での麻ブームのときにはすでに手に入れることが難しいような状況の糸であったのかとも思います。麻ブームというのは、作りたくても麻糸やリネン糸が、ほとんど手に入らなくなった時代です。その当時というのは麻織物の老舗として、全ての在庫がなくなってしまったといわれているにも関わらず、アイリッシュリネンの糸をしっかりと残してきたことが、不思議といえば不思議です。

1975年当時も、今後は良いものがに入らなくなるということで、先代が、1975年頃に良い原料を買いもとめた一つが、北アイルランドで紡績されたアイリッシュリネンだったのです。実際に北アイルランドででも、それ以降の時代には、良いリネンをつくるのが難しくなり、言われていたことは半分本当のことだったようです。30年ほど前に、北アイルランドの紡績というのは終焉を迎え始め、1990年代には、消え去ったアイリッシュリネンの世界をなんとか残そうと当時を知っている人を集めて語り部プロジェクトが始動しました。

先日倉庫で見つけたL80番手の金色のアイリッシュリネンは、北アイルランドのアンドリュース社のリネンだったとのことです。何十年も糸を買い足しながらも、良い糸をなぜ使わなかったのかが不思議かと思いますが、背景を考えると将来良いものが作れなくなるときが来るのを心配して買った糸なので、使わずに残しておいたということではないでしょうか。

また、北アイルランドのリネンが艶があって金色っぽいのかという秘密にも迫ることが出来ました。その色味からして、今とは違う製法でつくられていたと想像はしていましたがそれを立証する証言をいただき、やはりなあという思いです。私自身は、アイリッシュリネンが非常に柔らかく仕上がる理由もその原料の製法にあると考えます。

過去に何を作っていたとか何をやったとか一世代前のことですらもが、移り変わりが激しくて辿ることが難しく、世界のリネンの業界の歴史を知る人というのは希少な存在だと思います。知識で知るのと、その時代を生きて実際にものを扱っておられた方とでは格段の差があるのも感じるところで、当時をご存知のお一人お一人のお話をお聞きさせていただくことで全てのことが謎が解けていくのを感じます。ゴールデンアイリッシュの謎が氷解いたしました。

今日は、朝にビームを持って行き、お昼からは来春物に向けて東京と大阪からのお客様で、夕方は数件の出荷などと、ここ数日取り組んでいるサンプルつくりがシャトル織機のいろいろなところを調整する必要があってどうもうまく行かない問題で明日に持越しです。


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