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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

丁寧なお手紙

2011年07月30日

本格的に一般の皆様向けに布の販売をさせていただいて1年ほどの林与なのですが、非常に暖かい対応でくださることが多く、林与のやることに追われすぎてアバウトな販売方法を申し訳なく思いながら、しっかりとしたものをつくらないとなあと思います。

海外で生産される生地などは、スムーズにものを流していくために糸質を落としてどこまで修正を加えて綺麗にするかというところに重点が置かれます。林与の場合、ほとんど修正を加えずに織ったままとか、加工上がりのまま流してしまうので、糸や染というのが出来上がりに大きく左右されます。後で修正を加えて化かすのが今の主流でそれをしていないことを品質管理がなってないといわれることも多いのですが、全体的な品質面でみれば修正で取り繕う手法というのは薄っぺらいとしか思えません。

製造や企画に携わられる方というのは、どうしても、どうやって安くつくるかをいつも考えておられます。買われる方が気の毒だなあと思うのはその部分です。高く売りたいのだけど安く買いたいという儲けの発想が「三方悪」の世界で、以前、どれだけ安く買ってどれだけ高く売るかが商売人の技術だと信じているといわれた方もありました。

売り手よし、買い手よし、作り手よし、のための近江商人の美徳は、どこまで自分の利益を落として、三方善を作り上げるかだと私は思います。経営の勉強会などに参加してもどうも、先生の言われる三方善が徳に基づくものじゃあない気がするのも不思議な気分です。近江商人道を説くような経営セミナーなんかがありますが、どうも、新興国で謳われるようなWIN-WINなところに終わることも多く、マーケティング手法としては、コンビニや百円ショップこそが最高の形であるという哲学になります。それはそれで一つの商売の王道です。

先日、さる方とお話したときに、なぜものづくりが難しいのかを話すとものづくりしている人というのは、しわ寄せを覚悟してやっている部分だということです。ものづくり以外の部分においては、ババ抜きのババの引かせあいみたいのが今の日本の経済のいびつなところです。日本のモラル崩壊の原点ではないでしょうか。しわ寄せを他の人に押し付けて、大手の企業が兆単位の利益を上げてそれをすごいと賞賛している価値観が侘しく思います。利益を独り占めする独りよがりな経営と三方善とは相反するもので、利益を上げていれば三方善の結果だと無理やり結びつけるのは独善的過ぎるのです。

夢のあるようなものづくりを続けるためには、その夢を支えていくような環境が必要で、それを企業が用意しようとしても、政策というものは無機質でそれに反することも多く、そういうところから直していかないと夢のあるものづくりも難しいなあと切実に思います。


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