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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

研修旅行

2011年10月27日

今日は、組合の研修旅行で彦根商工会議所の皆様とご一緒に琵琶湖の反対側の高島地域にお邪魔しました。綿帆布鞄、高島の道の駅、アドベリー、近江扇子と地場産業づくしで見学をさせていただき、日ごろ地場産業にかかわるものの、他産地の地場産業のお話をお聞きすることで共通に抱えている問題や他産地の取り組みから学ばせていただくことはたくさんありました。春のプレミアムテキスタイルジャパンでもお隣のブースは、高島の4社が合同での出展をされておりまして日本のテキスタイル業界を盛り上げていこうというお仲間意識を感じました。

綿帆布鞄は、高島地域地場産業振興センターで販売を手がけておられ、ひとつ1万円程度のお値段でオーダーメイドの形で販売されています。色などがネットではどうしてもうまく表現できないということで、現地で現物を確認してご購入をいただくのが一番だとかいうお話です。JR西さんとのコラボもされていて、観光資源としての部分でも帆布生地が活躍しています。

センターにお邪魔して林与が気になったのは、販売所の横に手織機やシャトル織りの織機があって、綿を育てて手紡で糸を作って織物をつくられているとか、綿と種を分離するだけでも大仕事だというお話で、それを現実のものとして織物まで仕上げておられるので、理想を現実にするような取り組みには感心しました。お話を聞いていても熱意や職人魂に感服するプライスレスな世界で、人間の根気や技術が出来上がるものを大きく左右し、出来上がったものから作り手がまさに見える気がします。

お昼は、161号線沿いの高島の道の駅で、鮎料理をいただきました。道の駅は、高島地域で作られたものが、おみやげ物としてすべて並んでいるかのような徹底で、多くの皆様が地場産品に触れることができる場所です。手軽なおみやげ物としての意味合いが強く、手の込んだものよりは安いものがよく売れるというような傾向は強いかなあと思います。人を集める力というのは強いなあと思います。

アドベリーは、ニュージーランドのボイズンベリーの苗をオンリーワンな形で日本で栽培されており、6次産業(1次産業+2次産業+3次産業)の創造という表現で、安曇川地域の特産品として定着し、多くの方の認識も得て守り育てられている今までなかったものが地場を支えるような新事業の成功事例です。

近江扇子のすいた扇子さんは、私の中学時代の友人の親戚の方がやっておられるお店で、近江扇子の歴史を背負って手作業の部分をしっかりと見せていただきました。体が自然に動いてものが生まれるとおっしゃっておられるのは、私自身も織物の作業をしていて感じるところで、手の感覚でものが生まれてくるというのが数値的な品質管理とかと違って、自分の感覚を信じてベストを尽くすしかないものづくりの形です。

作業を見ていても、手間暇掛けずに機械化すれば安く大量に作れてよいのにと思うのですがそれというのは誰もが考えることで、楽をしようという話になれば、自分が旅行に行くのとテレビで旅行番組をみるのとの違いくらいはあると思います。忙しい日々の中で、このような研修旅行に参加させちただいて、自分の中に生かしていくものがなければなあと思います。高島産地の皆様も高島のものづくりの特性を生かしながら愚直に物事に取り組まれ育んでおられ、行政もそれをバックアップされているのを感じます。

ものづくりの部分では、材料という部分に携わられる方というのが一番厳しいところになるようです。綿の手紡にしても、綿を栽培するのは1年かかり、それを手で紡績するとなると使える量も知れています。アドベリーにしましても、手で摘む作業が伴いますのでそれをカバーできるだけの人材をどう確保するのか、近江扇子にしましても竹はたくさんあっても竹に手を掛けてあげないとよい竹が育たないということです。

突き詰めていけば自分の会社の中の人だけでなく結局は自分のほしい材料を生み出す人々の生活を支えていかなければものをつくることはできないということです。それは日ごろから実感するところで、企業努力だけでなく、協力てきな部分がないと川上の産業のほうから崩れてしまっていくものです。これは、ものづくりだけでなく、法律や経済政策が大きく影響し、日本の伝統産業が消えていくのも企業努力だけではどうしようもないところにきているといえ、法律や政策で守られた業種だけが自由競争の中の比較優位で残れる形ではないかと思うのです。


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