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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

物性

2012年02月06日

今日は午前中、就職を考えられておられる方が会社見学にお見えになられました。午後からは生地の問題があったということで検査所と加工工場に行って問題の原因の調査を行いました。検査所では想定される要因のアドバイスを受け、加工工場などでも工程に問題がなかったなど念のために調べてもらい。原因は凡そですが絞ることができました。

別件で、加工工場さんでは、先日、お渡ししましたキッチンクロスが加工からあがったようでテーブルの上で縫製工場行き待ちの状態になっており、キッチンクロスの色によって長さがかなり違うとのことで、そんな筈は…。シャトルで織ったものですのでテンションの強さ加減で、長めにあがったり短めにあがったりすることも多いのです。反末の引っ張れた状態での比較で、反物のはじめと終わりというのは不安定な場所なのです。

織物の落としや検査試料断片というのは、反物の真ん中を取ることはないので、本来、反物の検査の意味もないことが多いのです。そういう経験から、林与では、検査する断片は、1番目の反物の頭や一番最後の反物のお尻からとるのではなく、一番目と二番目の間で取ったりするように注意しています。

機屋さんなどでも検査の数値が悪くて困られているケースが多いかと思いますが、検査断片を反物の端で取っているからで、あまりに不自然な数値が出たときには、反物の3M中のあたりで取るとよい数値になることが多いものです。

私自身、テキスタイルをつくるときに一番気にするのが、出来上がったときの物性的な面で、そこに注意をしてものづくりされる方というのは非常に少ないものです。特別なものを作ろうとするとテキスタイルというのは無理が生じますので、本来は安定した企画に色柄を乗せてあげるくらいが一番、工業製品的にはよいものになるのです。

一方で、味を求め始めると、いろいろな問題が生じてくるものです。一番顕著な例は、密度の荒いものでスリップすることですし、染色などでも草木染などは堅牢度の問題が常に付きまといます。芸術性に走ると妥協というものが必要な場合が多く、後からの物性を上げるということは非常に難しいものです。

納期、コスト、品質面で厳しいブランドさんでは、安定したカウンターに色柄を載せるようなものづくりにしておかないと何回かはうまくいっても、何回かに1回の失敗というものが命取りになることも多いのです。ヨーロッパからのインポート生地などは、珍しいものが多いですが、物性面で製品になってからフォローが付きまといます。

ヨーロッパのテキスタイルメーカーというのは、イメージ、小ロット生産ではなく大量に生産をしてそれを売り切る形にしていることが多いのです。日本のものづくりとはまったく違うタイプですので、着分もすぐに出てきますが、完売するとそれで終わりということも多いものです。


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