for English speakers: Welcome to HayashiyoWelcome to Hayashiyo
リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

追われること

2012年06月10日

追われる気持ちがないと目標を達成できないことも多いもので、納期に追われて、最初は絶対無理だと思っていたことでも何度ものトライアルを続けて完成にもっていくというパターンも多いものです。織物は、縦糸が何千本もあるので、最初の織り出しなんかは手織と比べても何倍も手間がかかったりします。

今回の海外輸出向けの生地に関しても時間のない中で、なんとか量産のところまでもって行きました。機械を織れるところまで調節することが難しいので、これを専門に織るというのならそれほど難しくはないのだろうなあと思います。

麻織物の場合には、仕事というのは完璧の組み合わせでないとならないのです。綿だと麻と比べると、均一性の問題、染めの問題、糸の伸度の問題などにおいてトラブルが少なく、織機が何十分も動くということがほとんどです。特に縦糸が麻なのか綿なのかでは、生産性がかなり変わってきます。縦糸が綿だと縦糸の切れることに関しては通常ノーマークで作業を進めることができるので納期なんかも対応が容易です。

麻の織物で納期を求められると、織れない状況に直面すると時間との戦いになるので、将棋で残り時間がないような秒読みの世界で、織れるようにもって行きます。普通だと生産もしっかりと余裕をもってみたいな感じでしょうが、特殊なものや特別なものをといわれるとそれ専用の機を用意したり、織機も専用の調整を加えてあげないとならないのです。

織機を使っていても織機の調節には、手織り以上に手の感覚が一番大事だというのは不思議なことなのかもしれません。手で織らないのに手の感触というものを感じ取って機械に調節を加えないとならないので、織機の構造を理解していることは大事なところですが、それがわかっていたとしても織機の調節というのは誰にでもできるものではないのです。手の感覚と根気がないと普通に動くところまでもっていくことができません。そういうところが最終的には日本のものづくりらしさだと思うのですが、精神論になりすぎると嫌われちゃいますが、ゴミにみえるようなものから超一級のものまで、価値観というのは人それぞれで、また、時代とともに移り変わるものだなあとわかっていれば、スタイルを貫くことも意味のあることじゃあないでしょうか。


ホーム | ショッピングカート 特定商取引法表示 | ご利用案内