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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

ハリスツイード

2016年11月05日

ハリスツイードがなぜ今も生き残れるのかというと、織機が量産向けに改良をされていて、現代的な広幅対応でおることができるからである。電気を使わずにペダル式にしたりして、織機を動かす。現代的な機械技術で動力を使わずに人力で動かして手織りを謳うという形。日本の伝統工芸の世界とは異なる概念で進化しながら普通の工業として生き残っている。

8割以上が日本へ出荷されて日本でブームとなっている。語られるのは昔ながらの手作りの世界であるが、どう考えても普通の手織りであの量産は無理、機械技術で人力で動くようにしてのところで、日本でやってしまうと日本の概念からすると手織りとはいえない。ハリスツイードのほとんどが日本向けながら、一方で、日本の伝統的なものがヨーロッパで評価されるのもそういう部分があるからだろう。

織物のプロがみれば、今のハリスツイードは、一見して手織のラベルをつけるのが無理な織物なのである。日本ではその手法は、もはや手織りとは呼べないながらも、現代的な人力織物と呼ぶにふさわしく別の意味での評価はあるだろう。琵琶湖の鳥人間コンテストで、人力で飛ぶ飛行機を思わせる。人間がエンジンの変わりに、こぎ続けることで織物が生まれるのだろう。逆に単なる動力の代わりが人力というのも少し悲壮な気もするが、自転車をこぐような気分で織物が生まれていく世界も悪くないだろう。

商社というのは売れればよいという感覚なので、消費者に真実が伝わらないことも多い。日本というのは食品でも偽装が問題視されるもので、そういうところが一番気をつけないとならないところだろう。手織りを謳えば、日本の消費者が勘違いしてしまうケースが人気のハリスツイードにも存在してしまっている。私自身、ハリスツイードの技法や設備を知っているので、一般でいうところの手織りとは解釈していないが、ラベルのHANDWOVENは、当初の頃の本当の手織りの説明が技法が変わっても続いているのだろう。

手織りをやめて人力でどこまでできるのかがハリスツイードが生き残れたことに大きく関わっているだろう。


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