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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

長野の織物工場

2017年11月11日

昨日は長野県の織物工場が社員旅行で滋賀県に来られ林与の工場を見学。シャトル織機なども動かしておられるので、設備的にはそれほど新しい情報もないだろうけど、ジャガード織機などはないということでご覧になられていた。麻とシルクとの織りの違いなど差があるのだが、シルクの場合はテンプルを使われていないということで、テンプルがシルクを傷つけてしまうからだろうとおもうが、麻の場合織りにくいそうだ。分かる気がする。

後、湿度の問題もあって、麻の場合には糊のついた糸などは湿度を与えてあげないと織れないことがある。シルクのちりめんの場合には、撚りが戻ってしまうので、湿度はよくないということ。ほかにちがいといえば整経のときのビームで機草紙を入れて巻き取るそうで、基本、フリンジをつけて巻き取る量産のスタイルの林与とは異なる部分である。林与でも、2重ビームの場合など消極送りの場合には機草紙を入れて巻取りするが、着物の世界というのは量産対応が難しいのもそのあたりだろう。ビームに巻き取るは巻き取るで、微妙な幅の調整がうまくできないと織りにくい問題が起こりえる。小ロットの生産だと機草紙を巻いてするほうが楽なことも多いが、大きくまくとなると糸以上に紙をたくさん巻いている感じになるので、ぎゃくに大変。

事務所では、近江上布の絣のものをごらんいただくと、やはり伝統工芸的なものづくりもされている工場の方々なので着物の世界の織物のほうに味を感じてもらえる。でも、需給の関係などもあって、今のアパレル向けの織物を織るほうが糸の手配、納期の調整、生産量の調整など、実際の労力や覚悟は大きかったりして、広幅絣織物のほうが私にとっては高度でありながらも趣味に近く気軽にできたりするあたりなど。

長野の工場では10数人が分業的に仕事をされているそうで、林与からすると産地がまだ元気だった頃の林与の昔みたいな体制の整ったものづくりでうらやましく思えるが、それはそれで大変な部分もあろうかと思う。現実、今の日本の現場ではちょっと難しいことが出来ないというのがありがちなので、長野の工場さんのように設備と新しいことでも学ぶ力のあって実線してゆく意欲のある人が揃っていると今の日本では例外的に元気に仕事が舞い込んできてこなしてゆけるだろうと思う。仕事があって天国と地獄の差というのも壁を越えてそれをこなして行ける人がいるのかいないのかの差だろうと思う。8


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