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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

シルク

2017年12月14日

今日はシルクの整経。林与のシルクは幻のカネボウシルクを使っている。カネボウシルクといっても国産ではないのだが、10年前にカネボウが破綻したときに、もう良いものが作れなくなると思い、糸商さん数社に依頼して日本中のカネボウシルクの在庫を探してもらって、全部で1トンくらいのカネボウシルクの200番双糸が集まった。箱にすると30kg入りで、十数箱で、畳1畳の上に4箱X2箱の2段積みくらいだが、当時1kgがAAAの糸でガス焼生糸。それで500万円ほどの在庫になる。

織る前の糸というだけでなく、染色前の段階で、小さな織物工場がものづくりを守るためには当たり前に畳一畳に乗る程度の糸に500万円とか糸につぎ込む。糸にお金をつぎ込み、お金を糸に変えるのは馬鹿にされることも多い。でも、良い糸というのはもう手に入らないというのをよくしっている。林与もおじいさんの代からの手績みの糸を使う機会もなくそのままにしているが、江戸時代のものづくりを残そうとお爺さんが、戦争で麻織物が禁止されたときに、集めまくった近江上布用の良質の手績み糸。損得じゃなくて、ものづくりを残すためには、そのたびに家が買えるほどのお金をつぎこまないと無理な話。

世界的にも幻の糸を使えるのが、林与から生まれるのもそこで、アイリッシュリネンでも再現しようとして世界的な著名ブランドが動いたが無理な世界を、100年以上前の江戸時代の日本のものづくりの世界を残すためには、自分の命を捨てる覚悟ある。日本国内は国内最高峰の伝統工芸も林与的には軽くなりすぎて、麻の先生とされる方にでも、真剣に覚悟決めてやりませんかという話で、一千万の投資をされた方を同じくらいの覚悟があるのかと見初めて支援したい気分。日本や世界を動かすためには一人の人間が何億の覚悟が必要なのが逃げないで背負える人は本当に少ないのが、日本のものづくりが十万とかでも覚悟がないサラリーマンでは本当に駄目と思う。

林与が小さくても世界一な部分は、麻織物の世界で一番名ものづくりを貫きたいという覚悟、イギリスやイタリアのNO1が麻においては林与のものづくりを世界のものづくりの見本や手本にしてもらうのもそのあたり、世界でも林与以外に数社しかない。薄っぺらさは人間性の違いで規模の大小じゃなく、世界的に有名なところにでも駄目出ししてしまうのが、林与の麻の世界の本質で、イタリアでの一番の企業がサンプル請求ばかりで返答もせずだらしないので一番駄目な奴そのもの。

世界手ににも有名で日本でも一番くらいに有名なイタリアの会社さん。日本で一番小さいクラスの機屋が世界で一番有名なテキスタイルメーカーの方に、林与のようた小さな会社が駄目出しとかは厳しすぎるがそれが繊維の世界。いつも私がZ社の人ですかとイタリアのウールやリネンの最高峰が商売になるかならないかのレベルで見にこられても残念なのは、イタリアの最高峰が本当のものづくりの覚悟もないのをやり取りのなかで実感してしまっているから。イギリスのリネンの最高峰だろう企業がある方の紹介で林与のものづくりをブースに丁寧に見ても良いですですかから始まって評価してくださり、業者同士だとあるべき形をイギリスの業者さんが当たり前にされたのは本当の紳士淑女の世界なんだと思って怖いくらい。いつか紹介くださったM社のものづくりにおいては紳士中の紳士であるその方に林与の最高のものづくりを見てもらいたいなと思う気持ちとそれができない申し訳なさでいっぱい。フランスのD者のトップの方も近江上布には関心をもってくださりそれができないのかとお尋ねくださり、日本の本当の伝統工芸の世界で難しいですと残念な答え。私自身ヨーロッパのデザイナーが特別なものを探されているときに、林与の近江上布アーカイブには、日本の数百年のものづくりが詰まっていて、今の繊維の世界では世界中探しても超えることができないのを感じられるのだろう。

わたしは、本当にものづくりの覚悟を決めたものづくりがわからなけらばそれぞれの国のNO1企業かたでも接点がないと終わる。英国NO1と紹介いただいたアパレルリネン企業は本当に紳士淑女でおられて、申し訳ない気分。英国でも著名なブランドデザイナーの紳士そのものの方に紹介されて見に来てくださった、本当にありがたい世界で、林与というか私が日本の織物文化守るときに残しておかないとおもうのは、損得じゃなく、自分ひとりでも日本の織物の価値観を分かり績み出し、守りたいと思った。

そういうのが麻織物の世界で残っているのが、地元では野々捨の世界や林与の世界、林与も本気だった同業者である野々捨の保証人もうけてそれを恩義におもって若造の私を盛り上げようと野々捨さん。必至なもの同士が運命共同体になれれば思ったが、あれは駄目これは駄目が買ってしまうのが地場産業。よしお君よお、朝起きるとへそが痛いとかわけの分からない話。朝立ちでへそに当たっていたいとか、すべてががちがちに固まって身動きがとれない状況をウィットで和らげようとする野々野の優しさがあった私の20代のころ。自分の家族を養うために必至であるべきだという商売の基本を教えていただいたのが野々捨さん。いろいろとやれれていたのも生きてゆくため、家族を養ってゆくために試行錯誤されていたということが私は本当に分かる。そういうものがものづくりから消えてしまっているのが、今の無味乾燥なものづくりの世界で、海外に追い越されてしまうのもそれが理由だろうと思う。


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