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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

絣織

2018年04月25日

麻の世界も、シルクの世界も高級品は絣に織られた。糸から手で績んだり紡いだりした昔の布つくり。プリントと比べると何十倍も手間が掛かる世界で、糸の中まで染料が浸透しているので、裏も表も同じ柄で、着古したらリバーシブルに仕立て直して絣で織られたものは一生ものとして愛される。

近江上布は平織りが基本で、その理由は絣に織るからだろう。京都の西陣織などは染めた横糸をジャガードで浮かせて柄を出す。基本2枚のソウコウ枠を上下させて織るのが近江上布絣の基本に比べ、西陣織はジャガード。対照的である。

上布と呼ばれるものは平織の絣が多い。近江上布の絵がすりは、林与の歴史からすると、初代の與次右衛門じいさんの頃に、赤苧大絣で一等賞をもらっているので、林与はそれなりに絵絣では強かったのだろう。その一等賞をもらったのがどんな柄なのかわからないが、たぶん型染だったのだろう。二代目の與一じいさんは、残した数千点の近江上布アーカイブをみると、60年ほど前のものに思えないほどに、今にも多くのアパレルデザイナーの方々に感動を与えるクオリティ。「外に出すべからず」の言葉を守り?半世紀ほど封印されてきたので、産地でもその世界を知る人は多くない。10年前に先代がなくなったときに、倉庫の押入れの奥から10数箱に分かれて、それぞれの箱にびっしり詰まった見本切。

つくれなくなるものだから、大事にしまってあって、必然なのか偶然なのか失われることなく、私に引き継がれた。昔のものづくりを伝えるために表に出したが、この2年ほど再現の動きにたどり着いた。しかも、アパレル用途を想定して広幅絣に織り上げる。何十年ぶりの大雪に包まれ寒さを堪え2週間ほとんど寝ずに型紙捺染に苦しんだ昨年の正月。仏になりそうなほどに型紙を彫りまくった。

型紙捺染には力があるのは、なんとなくわかる。仏像を彫るように型を彫る。子供のころに版画を彫ったのを思い出す。手が柄を生み出すから、シルクスクリーンとは違う趣になるのだろう。


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