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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

滋賀にもどって

2018年05月20日

東京に数日いたので、滋賀県に戻ったときのギャップというのを感じたのは林与の住む東円堂という集落に入る瞬間。懐かしいああこんなところに住んでいたのだという感覚。何もないだが自分たちが何か生み出してゆかないと画一化された感覚に憧れるとその差は広がるばかりだろう。多くの人が高齢化してしまいこの地域はいったいどうなって行くのだろうか。活力みたいなものが感じられないと他に支えてもらうが先行し寂れて行く一方であろう。

私が活動的に動くのはその反動なのかもしれない。人生観から派生される哲学や価値観がアーティト的なものづくりには大事なのだが、あまりに周りが伝統とか文化といいつつも結局普通を後追いするようなことが多く、70歳以上の方が多いなかで50歳手前の私が一番頑固爺みたいなところがあって揺るがないものをもっている。それは普段自分がやっていることから来ている部分が多い。困っている人がいれば他の人を助ける余力や協調性は必要だし、信念的なことに関しては他の人に流されない感覚が大事だと思う。他の人の信念を大事にすることも大事である。

こだわりのものづくりを紹介する本を、スタッフの子が中古で手に入れて読んでいた。麻布や布に近い布製品もあるのだが、見ても自分たちのやっていることのほうが複雑で、そういう外のものに憧れないで、彼女自身の手でそれ以上のものを生み出す力をもてはそれよりも評価される話をする。弊社に入って1年の女性スタッフも日本の織物の若手としては一番の注目株で能力も高い、あとは実践あるのみで自分自身がそういうものを生み出してゆくだけのこと。誰もが期待してくれていて応援してくれる人ばかり。

作られたものに憧れるというよりもものをつくれる人の能力に憧れてつくる人を応援くださる方が多い。若くして20代半ば、仕事初めて数年で同じような力を持てば、日本だけでなく世界から注目される織物作家の一人となれる。私が織るのも一つの価値だろうけど、女性の方が圧倒的に布の世界には憧れてくださることが多く、女性がデザイン染織加工をこなし生み出す力を持っているのが素敵に見える。

多くのデザイナーが憧れるデザインの世界も近江上布のアーカイブには詰まっている。それは今の布の世界が求めているデザインの要素。外を見るでなく、手元の昔の資料が世界中から評価される。今まで一度もこんなのは見たことがないと驚かれる日本のものづくりの世界。それを広幅で再現してゆく壁があるけど、いろんな壁を乗り越えればつくる楽しみに変わるだろう。そのために私は今の時代のものづくりの技法や道具をいろいろと考える。織物をつくる環境をつくることも私の仕事。


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