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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

倉敷

2018年07月20日

今日は、倉敷の縫製工場に急ぎの生地を納品に向かう。途中、新名神を走ったのだが、山の中の道、走っている車のほとんどがトラック。山の中の道をヒタスラ、倉敷に向かって走る。ワープしたい。もう一つ問題は、カーナビのデータが古くて新名神がないので、道のないところを走っている。携帯のナビのほうがいつも最新で信頼できるというのもおかしな話。

倉敷について迷うかと思いきや、案外すんなりと目的の住所にたどり着いて、生地をお渡しして失礼させていただこうとするも、お茶を一杯いかがですということでお邪魔させていた。岡山というのは、繊維でもデニムの世界をもっており、創作的なものづくりが根付いていて、味の世界を理解でき、作り上げることができる方々がおられる。結局、頭の中でものづくりはできてもそれを形にできる人というのは何枚も上でそういう人がいないと成り立たないのが日本のものづくりの部分。サラリーマン化した工場ではそれは難しく、やはり気を持った人がやっている小さな工場だから人の要素が差を生み出す。産地は異なるのだが、デニム素材を代表とするカジュアル素材や縫製、一方で、メンズの高級ブランドの縫製にも対応できるノウハウがあるのが岡山や大阪の枚方だといわれる。技術があるようにおもう大きな工場の中に職人はおらず、小さな家族経営的なところが日本のものづくりを支えている感がある。

手間隙かかるものが日本の大きな会社や工場で出来るのかというと、それは無理な世界。大きな工場というのはどうしても生産性が重視なので、一つ一つの商品を人の感性で手がけるは無理だと思う。私自身が今回の納品した生地にしても、丸々2日、すなわち48時間。あれば私だったら一人の作業で、普通の人なら6日分なのでできるだろうと思っていたけど、結局、丸々4日かかって、ほかに2日分ほどの他の人の力も必要で、普通の織物工場だと一ヶ月の半分くらいの力を使うことになる。一つの織物の見本に普通だと織物工場の一ヶ月の半分の力が必要なことになる。

普通の会社だと難しい話だし、それを受けて縫製してくださる方々にしても規模は小さくても大きな会社を動かす覚悟と同じ要素をもっておられるから。私が思うのは自分がやればよい、どこまでできるか、自分がやらないで成り立たない話。結局は個人の力がすべてじゃないかというのは日本のものづくりの世界でそれをやれないと仕事を受けることも出来ない。ので、担うことすらも無理。素材の世界では相当に厳しい世界で、自分が作れるのかどうか、だけのこと。他に求めるでなく、自分で生み出してゆく力がなくなりつつあるのが日本のものづくり。生み出せる人の力を感じた一日。


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