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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

巻き取り

2018年08月08日

今日はリネンのキッチンクロスの巻き取りで一苦労。糊の加減と重りの加減で、ゆるく荒巻されてしまったために巻取りで食い込む現象。半分の量をボツにして半分を救う。総先染のキッチンクロスは、染の少ないキッチンクロスとは違って糊付が必須となるので、想定していないこととして起きた。初め一バンド巻いたときに、ゆるく巻けていると不吉な予感がしていたが、巻き取れないほどに大きな問題となるとは悲しい話である。

巻取りで半分をボツにせずに突っ走っていたら巻き取り幅がどんどんと狭くなって全部ボツになってしまっていただろう。ベストが駄目なときにはセカンドベストで、半分を後でやり直す形で納期など少しでも詰める。こういう風に糸が通常と違うときには織でも苦労をする可能性がある。感覚的には糸が糊が付いて少しぱさぱさしてしなやかさがない状態で高密度に織れるのか試してみるしかない。世間はもうすぐお盆、お盆の間に問題を解決して遅れている仕事、また、自分のやろうとしている染の案件など、普段バタバタしすぎているのでじっくりとできればと思う。

少し変わったものをつくろうとすると奥が深すぎていろんな壁にぶつかるものである。そういうときには時間を使って、あーでもない、こーでもないを超えて形にしてゆく。今までの経験でも、麻でアパレル向けのものをつくるときに、一番困るのが最後の物性検査が通らないこと。定番の企画でなければ、滑脱や収縮など試作のときに検討しておかないと、普通の生地でもサンプル時と本生産では数値がまったく異なることも多い。同じ生地を投入してもサンプルと本生産で物性が異なる。加工の問題なのだろうが、その加工工場の問題がなるべく起きにくい様に、また、起きた場合でも問題が解決するように生地規格を収束させておかないと難しい。

学生のアートな世界はファンシーなものがテキスタイルデザインとして好まれるが、プロの世界は地味なものがテキスタイルデザインとして好まれ、物性面など見えない部分をしっかりとコントロールしておかないとまったく使えない生地で終わってしまう。地元で経験をもって独自の作風でテキスタイルをデザインされていた方でもその物性面で問題があって良いブランドさんだからお金はもらえたものの使われることなくアパレル向けのテキスタイルの仕事はやめようと思われやめられたと話しておられた。相手が違えば、自分が何ヶ月も仕事して何も悪いことしていなくても何百万円の損害の話になる。

黒ひとつでも、本当に濃く黒を染めると色落ちはしやすい、ちょっとグレーかなあくらいの黒だと色落ちはしにくい。どっちを選ぶか、林与はどうしても、色を大事にしたいので堅牢度は悪くても本当に濃い黒を選ぶ。まあ、それがトラブルの種になることも多いけど、分かってやっている部分もある。


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