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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

さすが

2019年03月07日

さすがだなあと思うのは、現場の力。今、量産の一つの件でリカバーしないといけない案件があるのだが、微調整が必要で、糊付けの1回目がうまく行かなくてそれを同じ工程をもう一度行うことでリカバーする。なんとなく専門ではないけども、私は専門職の人にも常に口出しをするほうで煙たがられることがあるけども、ある社長の力量を信じてお任せした。最初の1回目の糊付けで普通よりは甘くしかついていないことも感覚的に判断されて最初の糸を持ってこられたときにも、糊の付きが甘い辺りを言っておられた辺りがさすがだなあというところ。

通常だと薄い糊を2回目は付けそうだけど、糸のコンディションを考えて、1回目と同じ強めの糊を付けてくださって、それが私が糸のコンディションを考えて強めにつけて欲しいと頼みたかったことと同じことで、そういう微調整をマニュアルではなく、今の問題をリカバーするために動いてくださる。本麻の先染めのアパレル用の広幅のチェック柄、日本でももうできるところはほとんどなくなっていると思う。というのも、弊社が織れるかどうかというだけでなく、糸のチョイス、染色、糊のチョイス、加工でのチョイスを考えると、着物の世界の布と同じ工程で幅が広い分、ほとんど3倍費用が掛かってしまうので、1回でうまく作らない限りにはトラブルも多く合わないのである。アパレル向けでは値段も合わなくなっているので本格的な本麻の先染織物というのは手がけるところは本当に少ない。

林与は本麻の先染めの道では一番くらいを自負するところがあり、それも、一緒に取り組んでもらえる、同世代の地元の染色工場、糊付工場、加工工場があるというのが強みそのもので、林与だけの力でなくて、日本の麻織物の本場の産地を謳える強みだったりする。ぎりぎりのものづくりかも知れないけどもそういうものづくりが世界でもできないということで評価は高く壁も高くで、やりがいのある仕事の一つなので問題があるからといって手放したくなく、納期も含め海外のお客様を説き伏せてでも日本の本場の麻織物の産地の布に満足してもらいたいと考えている。

産地で私が取り組ませていただくのが現場の職人というのではなくて、現場を現場の職人以上に知った社長の皆さん。今回のトラブルの件でもみんなが動いてくださり、普通だと何ヶ月も掛かるリカバーをこの生産の時期に押し込んでの協力いただき、織だけでない日本の麻織物の本場の布をお使いいただきたい。こんなに苦しむことは何年振りだろうけども、これが高い壁で自分が乗り越えて行かないと諦めれば次に同じ壁にぶつかったときに乗り越えようとはしないだろう。

今の若い人たちが業界に入ってきても日本の市場ではこういう壁からスタートする。素人が一番難しいところを担当するのである。でも、素人だから何十年の職人を越えて行ける部分も多い。要は、目の前の仕事をどれだけこなすかだけのことで、素人も経験者も差は無い。もちろん経験者のほうが経験があるので問題などの予測ができて有利な面はあるけども、人というのは毎年能力は落ちて行くもので、若いときのほうが仕事というのは何でも上手に出来やすいものである。

私の親戚のおじさんも、来ていただいている職人さんもいっておられるが、60も過ぎれば20代の、昔の3分の1くらいの仕事にできることは少なくなっている。私も50歳でも学生のころと同じ気分で、現場の問題も乗り越えて行けるのだろうと思う。


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