for English speakers: Welcome to HayashiyoWelcome to Hayashiyo
リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

ものづくりのスタイル

2020年05月29日

私がものづくりをするときに自分でどうやったら自分がほしいものが作れるのかを考え、形にしてゆく。たとえば、「マスク専用ゴム通し」を作ること。自分がマスクを製作していてマスクゴムを通すのに毎回面倒な作業だなあと思っていて、専用のゴム通しも品切れなので、シャトル織機のヘルドを使ってみたところ非常に便利。自分が使うだけならそれでもよいのだけども、多くの人に提案するときには、完成度が高くないといけない。

まずは、材質、シャトル織機のヘドルは鉄製、鉄製は錆びるので新品を使ったとしても、水洗いなども適さないので良くない。シャトルのヘルドよりも、レピアのヘルドのほうが丈夫でしっくりくる。ただ、そのままカットしただけでは、実用性はあるが商品としては安定感が足りない。持つ部分に紐を巻いたり、ビニールテープを巻いたり、実用性はあるけども、洗えないなあ。マスク専用ゴム通しなのだから、衛生的な材質が大事、煮沸も可能なステンレスで、持ち手は、いろいろと検討をしたが衛生的な医療機器にも使われる耐熱シリコンが良いだろう。それで出来上がったのが、林与の「マスク専用ゴム通し」の2タイプ。たまたま、未使用のステンレスのヘドルが数千本残っていたのも幸運だった。もちろん専門の業者さんに頼んでステンレス一体型で持ち手の部分を太くしたものを作ってもらうほうほうがあるだろうけども、そこに何十万掛けて企画として成り立つのか意味があるのかの問題があるだろう。また、私は機屋なので、織物の道具を活用したあたりがオリジナリティあってよいと思っている。

一般的に企画の人というのは、ステンレス加工業者さんにそのイメージを伝えて試作をつくってもらうところから始まるだろう。それが実際に形になるまでも素材の選定から試作の見積もり、量産の見積もりで、スゴク遠い話になる。頼まれたほうも、ステンレスを扱うことには慣れておられても、マスクなんて作ったこともないし、マスクにゴムを通したこともないだろう。何が最適なのか分からない状態で試作するところから始まる。

そういうのを成り立たせるためには、自分がどれだけとりあえず形にしてみるかが大事だろうと思う。思い通りのものができるのかどうか、そして出来上がったものがものとして実用性があるのか、デザイン的にどうなのか。一番大事なのはデザインなのか実用性なのか、あとコストの問題。コストはものづくりだけでなく、販売手法も含めて最後消費者の方に渡るときの値段。値段が2倍になれば売れ行きは10分の1だろう。需要があるのかどうか、需要なんてものもその物ズバリだけが要素ではなく、同じものでも販売する時代や場所などが異なれば売れ行きは異なる。それを自分がどうクリアしていくのかというあたり。自分がとりあえず自分の手でつくって売れるのが分かれば量産は本職の人に任せればより完成度の高く量がまとまれば値段も合いやすくなるだろう。

そういうやり方で市場自体も自分で作り上げていくのが良いんじゃないのかと自分がモノづくりをするときにそういう考えでいて、私の会社に仕事を頼まれる方がおられても、そういう風にされるのが一番成り立ちやすいのではないですかと、適していると思われる生地を在庫の中から提案して一度まずこの生地をご購入いただいて試作されてはどうですかをお勧めする。近い生地でつくってみてもある程度良い感じのものができなければ、生地つくりの根本から考えないといけない話になる。


ホーム | ショッピングカート 特定商取引法表示 | ご利用案内