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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

方向性

2020年08月14日

仕事していて自分が立っていくための決断というのはいろいろあるだろうと思う。縫製の工場さんで、今はマスクを縫製しているところも多いし、マスク縫製をしないと決めておられる縫製工場もあったりする。

私はある意味柔軟なんで、洋服にしてもマスクにしてもこだわれば同じ要素があるんだろうと思う。ストールなんかも同じでこだわった挙句に、柔らかリネンストールにたどり着いた。キッチンクロスで厚織のキッチンクロスというのを作ってみようと思って作った。マスクもおんなじで、どんなマスクだったら自分自身が満足できるだろうかとやってみている。

全部に首を突っ込んでやったほうがトータルとした解決方法も見つかりやすいことも多い。繊維業界というのは、糸、織、染、加工、で生地が出来上がり、その生地をパターンをつくって縫製をするような道のりの長い話。商品企画だけで進行しちゃうと、振っただけでものがでてくるようなことはないから、仕入れたり人が動いたりという現実的なものづくりの部分で、いろんなところでボトルネックが生じてくる。

生地を企画される方が決断がないのは致命的だったりする。デザインというものは多くの人が集まって決めるものではなくて、一人の人間が決めたほうが一貫性もあってよいだろうと思う。その場でものごとを決断して前に進めていけるほどの決断力というのは、別にすごいことでもなんでもなく、当たり前に必要なプロの能力ではないかと思う。

デザインというのは、かならずしも売れるものをつくるのとは違う要素であるとも思う。自分なりのテイストというものを、ものとういう形で表現することだから、会議して売れるほうに持って行こうとすると売れそうな色を当ててしまうと、テイストすらもが消えてしまうことになる。売れなくてもどこまで自分のテイストを信じて貫くかみたいなところがアーティストらしさだろうと思う。そこでは食べていけないから、副業してでもその世界を成り立たせるとかは大事だろうと思う。副業というのも、資金を稼ぐならまったく別の仕事でもよいだろうし、同じ業種の下請け的な仕事でも構わないだろう。

自分の目標を貫くために、目標以外のことでその目標を支えるみたいなことも大事で、業界のカリスマみたいな人というのは、案外、何でも屋さんみたいなところがあって、専門職に見えて、広く深くが普通で、だから新しいことでも抵抗もなくやっていけるんだろうと思う。

最初に戻ると、このアパレル不況の流れの中で、アパレルに再度打ち込んで厳しいのを乗り越えてゆくというのも一つの方法だろうし、マスク需要のような繊維業界で必要とされるものに新しくチャレンジしておくのも一つの方法だろう。案外アパレル縫製よりも手間が掛かるから悪いことじゃない。やっても駄目だとあきらめないようにできる範囲の最大の努力をしていくということが大事なことだろうと思う。やって駄目なら仕方ないだろうけど、やらないで出来ないとか駄目だといっていては、そもそも駄目な要素そのものだろう。

一枚のマスクでも作る作業に没頭して、裁断から縫製まで、丁寧に1時間作業して出来上がるのはたった1枚のマスクかもしれない。たぶん、小学生の子供でも、マスク1枚、1時間あれば、楽しく作ってしまうのではないかと思う。でも、プロの大人のクリエイターや職人がそれができるかというと、案外自分が生み出すはできない人が多い。子供は生粋のクリエイター、素直に吸収し初めてでなんでもできたりする。子供のような素直さがものごとをするには大事だろうと思う。


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