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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

整経

2020年12月07日

今日は朝から整経作業。糸の箱は30kgくらいあって、それが小さければ問題ないけども、持ちにくいほどに大きいから、2階の整経場まで糸を移動するのが大変。まあ、運動と思って、1個1kgの糸の巻いたのを7個づつ抱えて階段を上がるを繰り返し、スタッフの女の子も一緒に150本を建て終え、前まで引っ張って整経作業。

太い糸なので切れないんだけども所々に大きなフシや糸がぐちゃぐちゃとなっているのがあって、それを取り除きながらの整経作業。お昼前までで終わるかと思ったが終わらず、午後からお客さんなので、昼前からその準備を始める。

今日の午後からのお客さんは、奈良の機料屋さんとシャトルをつくる会社の方の2名。数年年ぶりにシャトルを作る。前回は20個つくったので、今回も200個をつくるのだが、シャトルの管が短いタイプと長いタイプがあって、今回は長いタイプにも使えるようにシャトルの受けの部分を少し変更する。

短いほうの管は300本くらいしかなく、長いタイプの管はたぶん2000本くらいあるだろうから、長いタイプの管をメインに使う形に移行をしてゆこうと考えている。短い管よりも長い管のほうが糸がたくさん巻けるので、長い管を活用できるほうが管の交換回数も減ってありがたい。

シャトルの会社の人と話をしていると、シャトルのことをいろいろと詳しく理解できるようになった。425と書いてあるシャトルがあったが、それが425gではなく誕生日の刻印みたいなものということで、透明の刻印で290とあるのがシャトルが290gであるというのを表しているとか。

1枚物の樫とかよりも圧縮板のほうがつよいとか、他の産地のシャトル織機のシャトルの事なんかも雑談の中で知ることができ、また、シャトルのネジが硬くてネジ山がつぶれてしまうのも、マイナスドライバーで外してもらって長年の悩みが消えた。新しいシャトル20個の注文の仕様も決定し、お天気も気分も晴れ晴れとした一日。

そのあと夕方から整経作業の巻き取りを行って、ビームを機場に下したが、いつもよりも力がみなぎっている感じで、そうとうシャトルやシャトルの管の不整合的な部分がトラウマだったのが解決できたからだろう。1年に7個から10個は壊れてしまっていると思う。

シャトルは1台にいろんな大きさのものを使うことはやめたほうがシャトルも壊れにくい。まったく同じ形の同じ重さの同じタイプのシャトルを使うべきで、杼箱にはいろんなタイプのシャトルが収まったとしても、反対側のピッカーの幅はどれか一つのタイプにしか合わせることができないので、同じ大きさのシャトルを使うことが一番理想的なのである。

林与の織機は片四と呼ばれる片側四丁杼のタイプ。着物の両側6丁杼とかに比べるとシャトルの数はすくないけども、太い麻を織ると麻は経糸切れなどが多いので、糸が切れた時にシャトルが織機に挟まることはよくあること。シャトルも壊れやすいし、織機も壊れやすい。

シャトル織機というのはジャグリングのようなもので、動いているのをみていると手品のように思える。昔の人というのはシャトル織機なんかも作ることができたんだからものづくりが器用だったと本当に思う。

シャトル織機のよいところは、捨て耳が出ないところもエコで良い。実際に横糸が1割ほど少なくて済むので、それは先染めの麻糸だと1mあたり50円から100円くらいの差になることもあって、コスト面でも案外大きい。ただし、織れるスピードがレピア織機の半分以下であるというのと、横糸切れなどのときの処理でギアを戻すなどは勘のようなところがあって慣れが必要である。また、織機ごとの個体差や癖もあるので、それぞれの織機に人格があるかのように対応してあげないとまともな織物が織れないあたり。

上手な人が織機を扱うと織機の調子はどんどんと上がってゆくが、下手な人が織機を扱うと織機の調子はどんどんと落ちてゆく。


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