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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

年末納期予定

2020年12月09日

年末納期の予定のものがいろいろとあってそのための準備作業などに追われている。昨日も順調に動いていた織機の一つのアンダーモーション昼過ぎに壊れて何が原因かわからなかったが、たぶん、そうこう同士がぶつからないようについているプラスチックのパーツの前2枚の取り付け位置がおかしいことが原因で、それにより、そうこうの角が3枚目の走行にぶつかったために壊れたんだろうと想像する。

アンダーモーションに掛かっている金具を取り外しゆがんだのを矯正して取り付けなおすのと、プラスチックパーツの位置を移動する。所要時間1時間くらいの作業だろうか、結果、問題なく動くようになって、一安心である。でも、誰があの位置にプラスチックパーツをつけたのかは?である。

仕事をしながらではあるけども、できることの展開の一つとして、近江上布アーカイブの整理をしてデータを資料化したいなあと考えている。複合機のファックスでデータをスキャンして、それをレーザープリンタ出力だと今一つだから、顔料プリンタで出力するとたぶんいい感じの冊子のひな型できるだろうと思う。その冊子のひな型をもとにデータを整理するのが一番良いだろうと思うのである。年末年始も私は仕事なので、仕事しながらそういうのを試作してみようと思う。業者に投げることは簡単だけども、自分でオンディマンドで変更を加えながら作れるというのがモノ作りにも共通する要素。織物を作るよりも難しくないことなので業者に投げるより自分で自分の環境でできる形を考えてみる。

以前、ある方に織機を譲ってもらう話があったときに作られた見本をすべて処分してしまわれたという話で、それは本当にすごく残念なことでそれだけでやってこられたことの8割9割のことを消されてしまった話に思う。自分がゼロからスタートするよりもそういうのを引き継げることがものづくりの大事なところ。また、試作からになると自分だけでなく糸加工や染工場さらには加工工場まで一から出直しとなって今の時代にそれは酷なことで、織機が入ったとしてもほかの会社が疲弊してしまう。生地サンプルを大事にする感覚というのは普通の人以上だと思う。一つの生地を作る時にも、打ち込みを変えたり糸を変えたりして、自分なりの満足できるあたりに落とし込めないと何時間も使うことが多いが、その間にいろんなタイプのバージョンが出来上がるが、それも一つの大事な成果物で、自分が経験してどのくらいの厚みが良いのかとか経験した人でないとわからない経験を積むことができる。

普通は、そんなに時間を使わないのが普通。インチ1本2本の打ち込みの違いくらいどうでもよいだろうことだけども、案外、インチ1本2本の調整を掛けたりする。チェック柄の時などは、加工した後を想定して柄の縦横の比率バランスを考えたり、自分がする作業以外の不透明な部分も考慮して一番良い結果になるだろうと思う規格を決める。加工というのはばらつきがあって、1反の始まりと終わりは伸びてしまっていることが多いので参考にはならない、加工上がりの幅が広ければ縦方向は縮んでいるし、加工上がりの幅が狭ければ縦方向に伸びている。加工工場の中でそういうのを一定にコントロールするのは1反の中でもばらつきのあることなので、加工ロットが異なれば、仕上がり幅が同じだとしても収縮率などの安定性の問題が出てくることになる。私がたかだか30㎝角を送って出す検査結果よりも、幅なりに1mをきれいにカットして、水洗いして脱水掛けて干してみてどれだけ縮んだかをみるのが、収縮物性を見る上では一番良い。

サンプルの時に、数メートルのサンプルを作ってその収縮物性検査をしてその数値を信じるというのは、素人ちっくな話で、数メートルのサンプルは引っ張られてしまってることが多く、正しい収縮物性は出てこないのが普通にある話。そういう程度のものに苦しめられるのが機屋だったり生地を企画する人間だったり、また、麻の場合には、色によって縮率が変わることも多く、白と黒とでは物性は大きく変わる。色違いというだけでなく物性が違うのである。染料を乗せた黒は固くなりがちである。カラーバリエーションを企画するときにはもう企画時点で、白と黒とを別規格として考えていないといけないくらい。リネンの場合、オフ白は通常8分の7晒とかで、生成は8分の1晒とかが普通。それだけでも、物性に違いが出てきて、白は柔らかいけども、生成は土から吸い上げた養分などが色として残っているのでざらつく。晒は水が入りやすいが生成は油分があるとされ水を吸いにくいとか。見えないところにいろんな苦労があり、麻の先染め織物が少なくなっているのも理解ができるところである。


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