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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

1週間

2021年08月08日

暑かった1週間、工場の中でエアコンもなくインターン生は乗り越えた。脱水症状にならないように水分補給などは自由に取るように薦めてはあるものの、慣れていない学生にとっては、暑い工場の中で1日中立ち仕事というのは、体力的にも精神的にもきついだろうと思う。

慣れの問題ではあるものの当たり前にこなして、1日中動き回って作業が進んでいるところなんかがあって、もう日本では難しくなってきている織物の一端が残っている。普通の織物に見えても、勝手におれるようなものを織っているわけでもなく、体力も必要だし、細かさも必要、頭も使う必要がある。

今日は最終日で一番最後にうまく終えるはずの巻き取り作業で大きな問題が発生。すべて記録などを正確に再現しながら、注意もしながら間違いもなく作業していても、麻糸というのは原糸のロットや染のロットが変われば、まったく性質が別物というあたり、微妙に糸に毛羽が多いとか硬いとかで、荒巻きがすこし柔らかく巻けたことにより、巻き取りが難しい問題。硬すぎると途中で糸の抵抗によって巻けなくなることも多いので、問題のない重さだと判断はしたがより硬く巻ける余地があったということだろう。

失敗はなくても、うまく行かないことがあるというのも見てもらって、暑い中、一生懸命に仕事しても、一度で糸代だけでも何十万円も失うということも普通にあるというのも見てもらって、それを乗り越えてやっているから林与の裏舞台だったりするのも経験してもらって、残る学生生活での創作活動するときの考え方に生かしてもらったり、将来、織物とは別の洋服の世界で活躍されるだろうけども、仕事で同じような問題にぶつかっても乗り越えて前に進んでいくのが当り前でないとそこで止まってしまっていては仕事もそこで終わり。

私自身が普段接するのが、独立して仕事されている方やブランドのオーナーさんも多く、私と近い感覚で仕事をされている方は多い。若い人で独立して仕事をやっていきたいとか気持ちをもっておられる学生さんにも話すのは、あなたも私も同じ舞台に立っているということ。経験があるからというよりも毎回毎回乗り越えているから続けられているというあたりがあるのを知ってもらっていろんな壁を越えて夢を実現してもらいたいなあと。

私も若いころに織機トラブルなんかにも立ち会うことが多かったが、知識はなくて非力でも、そういうトラブルの現場に立ち会って問題解決が自分の仕事みたいな感覚を、仕事の最初の時点から養っておくことは大事だろうと思う。

インターン生を駅まで送った後、スタッフと一緒に工場の中で耳が綺麗に織れない問題を検討。いろいろ原因や解決方法を議論するのは簡単でも実際に、解決方法を試そうとすると予期せぬ問題が起こったりしてそれがまた大変で、また、その解決方法が正しい解決方法ではないときに試す前の元の状態に戻さないと、元の状態に戻せないことが原因になって織機のコンディションが崩れ、織機の調整における抜け出すことの難しい迷子の状態に陥ってしまう。解決のアイデアだけで織機に大きすぎる変更を加えることはもとに戻のが大変になりリスクを伴う。それでも1時間ほどかけて、これが原因じゃないのかとおもうことを改善して試してみて耳が綺麗に織れるようになって自信をもってどんどん織ることができる状態に。耳が綺麗じゃない部分は、林与が自分で小物を作るのに活用すればよいだろうと思っているが、そういうのができないと材料も労力も無駄になり、全体を成り立たせてゆくことは難しい側面もある。キズの多い布でもキズの箇所を避けて作ればまったく問題なかったりするし、今の食品ロスとかにも通じるような話が、アパレルの世界では多々あることが多く、柔軟に対応して行ける力が必要だろうとは自分自身のものづくりの中でも思う。

まあ、サステイナビリティといいながらも、日本は続いているものごとでもどんどんと続きにくくしてしまうようなところがあって、変な新しいものを生み出してくる。代替フロンも、最初に大量に買い替えられた代替フロンはオゾン層を破壊するタイプだったが、それがまた、何十年もオゾン層を破壊し続けるとか。クリーンディーゼルも、ディーゼルの排ガスで何十年も地球環境を破壊し続けるとか、買い替え多分余計に地球環境を破壊しているようなことが多い。

日本も何十年もつづいてきた商店が、コンビニやショッピングモールに置き換わった。何十年もつづいてきた商店というのは、生活と商いが一体化していて環境負荷というものは低いが、コンビニなんかは労働力にしても正規の従業員やアルバイト契約でそれなりの売り上げを建てることが必須になってしまって、成り立たなければ、お店自体が損得勘定で捨てられてしまうような消耗品扱い。一つのモールやコンビニがうまく成り立っていてもその近くにまたモールやコンビニができて過当競争。取り合いは持続性とは相反する概念で、ギリギリ成り立つ程度が適度な状況。商売は儲けたらすごいというような風潮というのはもう過去の観念になりつつあると思うが、今の東京オリンピックなんかをみていてもスポーツを利用してお金の取り合いばっかりだなあと思う。


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