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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

調整

2022年02月03日

今日は昼過ぎから織機の調整、昨日から4色杼替えのものを織り始めたのだけどもなかなかその辺りがやはり難しい。シャトルも以前とは幅や重さが若干変わっているのですべて4本とも同じに調整が必要で新しいシャトルを下す。こういう調整のときに焦ると新しいシャトルを挟んでしまって新しいシャトルが壊れてしまうともうそのシャトルは使えなくなる。焦らずに時間を掛けることが大事ではある。

新しく作ったシャトルは少し細めのタイプで、重さが少し重いが、その分丈夫ではある。シャトルに使う木というのは、何十年も乾燥させ寝かせたものらしく、もうシャトルに使う材料の木材すら新しいものを用意するとかはないらしい。たまたまだけど、1年ほど前に20本新しく新調したシャトルを1台に4個づつ下して使う形に。2台だと8本必要。余力のあるときにシャトルなどを作って持っておかないといざというときにすべてのシャトルが同じ条件のベストなコンディションで織ることは難しい。

織物というのは技術だけじゃなく、織物を取り巻く周辺環境にも左右され、部品など他に依存する部分を解決してゆかないと続けてゆくことは難しい。上手な人が使えば部品なども壊れる確率は少ないけども、上手じゃない人がつかうとその何十倍も壊れる確率は高くなって、仕事自体の微妙なバランスを維持して成り立たせてゆくことが難しくなる。キズなどが多いと仕事してもマイナスで終わることも多いのは当たり前で、その辺りもこの仕事の当たり前だけど普通とは違う厳しさがある。

昭和の旧車なんかがブームにはなっているけども、織物業界では織機というとシャトルだけでなく、レピア織機にしても昭和50年代あたりのものが今も全国で動いているとかが普通にありがちな地場産業的機屋。織機の面倒をみることが出来る人がいなくなったら織機があっても終わってしまうような話で、織機を若い人が引き継いだとしてもなかなか難しいだろうなあと思う。

ある地元の工場でもその現場を動かしておられた年配の方が引退されたら、他の若い人が残っていても最後今の縦を織り終わったら現場を閉じるとか、人もいて設備もあるからもったいない話だなあと思うけども、今までやってきたことができるなら続くだろうけども、ゼロからでも織物をつくる力がないと織物工場としては難しい話で仕方のないことだろう。

技術力だけでは、へんに技術にこだわってしまうので、一般の人から見るとなかなか受け入れがたいものづくりになってしまうことも多い。テイストとか味みたいな感性的なものをいろいろと分からないと、そういうのを生み出していくときには話がかみ合わないだろう。こういうものが作りたいとか、こういうものが欲しいとか、いうのは簡単だけども、それを実行することは多難で、思った通りの結果に結びつくことのほうが普通は奇跡的なこと。


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