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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

慣れていないこと

2022年04月05日

私は職人さんとは違って織機には慣れていなかったりするので織機の問題が見えることが多い。昔、シャトル織機を他の工場から移設したときに織機10台の内9台がまったく織れなかった、1台まともに動いたのでその織機の動かない原因をたまたま見つけることができた。9台にはまったく織れない原因があった。

また別の場所からシャトル織機2台を入れて、職人さんに1か月以上くらい専属で調整してもらうも動かないので、もう時間がないので夜私が見ることにすると30分ほどで原因が見つかる。あとで、織機を譲ってくれた工場のおばあさんに聞くと、その織機は中古で入れてから一度も動かなかったということで、その工場でも動かすことができなかったようである。ということは、その工場の前の工場でもまだ新しいのに動かなかったから手放したということだろう。まったく織れない原因があった。

また、他の場所にあった織機も1年以上動かないので見てほしいということで、いくら調整を加えてもおかしいのでありえない話だけども、想像でここに部品が付いていなかったかみたいな尋ねるとついていたそうで見つけてきてもらって付けると動いた。まったく織れない原因があった。

どれも共通するあたりが、織機はあっても織れない現場という大きな問題。工場まるごと動かない話なので普通会社だとつぶれてしまう。慣れで仕事をする職人というのは、新しい織機は本当に苦手だし、自分の力が及ばないときにはこの織機は織れない織機だと決めつけてしまう。私の場合には、これは絶対に織れる織機だが何かがおかしいと思い込んで調整を掛ける。

調整しても無理な時には、なぜ無理なのかを考えて、ここにこういう部品があれば動くのにたどり着く。そこで、想定外のことまで考える。ここにこういう機能をする部品があれば、うまく動いて織れるのにというあたりにたどり着くかたどり着かないかは大事なことで、織機としては問題のない織機を織っていても糸が引っかかったりするときには、糸が引っかからないように細工をしたりすることがある。そういう細工をしないと引っかかって糸が吊れたりのまま織物が織れたりするので、いろいろと細工することは大事なのだけども、織機として問題のない織機にプラスアルファを加えて改善するというのは多くの人が苦手で、逆に織機についている部品を邪魔だと経験から外してしまうタイプの職人さんも何人も見て来た。そしてそれが仕事の仇になることが多かったりする。外した部品を捨ててしまう人も多い、そうなると後戻りできなくなる。

私は織機には慣れていないから案外、新しい織機の問題でも解決出来たりするということだろうと思う。慣れている部分としたら、織機の正しく動いている音を聞き分けることができるというあたり。壊れる前の織機が苦しそうに動いている音とか壊れる前に分かるので、壊してしまってから直すよりも壊れる前に調整して直すほうが織っている布にもキズができないから良いのである。


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