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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

本業

2022年05月18日

なかなか時代が変わるとひと世代前のやっていたことがもう日本では難しくなってしまっていることが多く、逆になんの設備も必要ないに近いようなことで簡単に次の世代が大きく商売をしているということもあったりして、それでよいのかと思うところもあるけども、繊維の大手SPA企業にしてもそのスタイルがほとんど。繊維業界でもどちらかというと身軽いところのほうが時代の流れに乗って産業の壁を越えた進化をしているということはあるだろう。

例えば日本の繊維業界を言うときに、織物なのかというと東レのような企業の航空機に使われるような炭素繊維とかが産業用の繊維の世界だったりするし、トヨタにしてももともとはトヨタ自動織機から始まっているから、織機を作るのが自動車に替わっただけということ。私が思うに、自動車よりも織機のほうが構造が複雑で、自動車は走ればよいのだけども、織機というのは織物を作らないといけないのでより高度に思う。シャトル織機に関しては大きな負荷がかかりながら、耐久性にしても毎日10数時間何十年も動くとか車の比ではない。

日本のシャトル織機やレピア織機なんかも品質が良すぎて何十年も使えるので、それが逆に織機メーカーの行き詰まりにつながった面すらもある。安かろう悪かろう程度が買い替え需要も生み出して経済が循環しやすい構造だったりする。日本の自動車業界も車検制度が無ければ、日本の大手自動車メーカーにしてももう日本では成り立っていなかっただろう。モノに関しては自由競争では海外に技術移転が行われてしまうと価格差に置いて太刀打ちは出来ないのである。

自動車メーカーにしても家電メーカーにしてももう素材からして海外に移行しているので、日本独自のクオリティを生み出すことが難しくなってきている。繊維業界も同じことで、戦後の一大産業は繊維産業で、日本のシルクなんかも高品質で世界中に輸出されていたのに国産シルクの素材の世界は価格面で成り立たず、雲の上の存在である。やっておられる方がないではないけども本当にごくごく小さなピンの世界。

さて本業という概念、私は大事だと思うので本業に徹しているところがあって、子供の時からの友人も会社経営をされていて、サイドビジネス的なことは嫌いだといっておられてそのあたりまったく同感。なぜ、若者たちが身軽く生きて行けるのに、背負っている人たちはなかなか商売を成り立たせてゆくことが難しいのかという問題。繊維業界でも、織物を織っているような工場というのは人も設備も抱えて本当に経営の難しさに直面していたりする。

やるならやるで本気でやればなんとかなるんだけども、とことんやればやるほど外の世界との温度差みたいなものが広がってゆくばかりで、商売が成り立ちにくい面もあって、若い人たちがやって身を成り立たせているくらいのことはまあできるよという器量がないと駄目なのかなあと思うところもあって、儲け話に舞い上がるのではなくて、地道にそういう世界も経験しておくのもよいだろうとおもうところで、儲け話でやっている人たちが消えたタイミングが、地道にそういう物事もやっていくのには良いタイミングではないのかと思ったりもする。


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