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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

八王子の道明さん

2022年05月19日

ストールの企画で元気にされている道明さんという会社がある、林与の遠い親戚筋でもあって久しぶりにお電話すると先代が88歳でお亡くなりになられていたというお話。道明さんの先代も近江出身の繊維の人なので、一宮のゴールドの野邑さんとか、林与の先代とか、八幡商業高校出身の繊維繋がり。道明さんの先代も、戦後韓国から戻られ、親戚の家に学生のころにいそうろうされながら、大阪で丁稚奉公を経て東京に出張の時にストールと出会って、ストールでやっていくと覚悟を決めて独立されて一代をまっとうされて次につながれた。

私がすごいなあとおもうのは無一文から成し遂げられてしかも周りにも人並みならぬ甲斐性をもっておられたところ。なんだろうあのすごさはと思うほどに人生観すらもが超えたような方であった。困っている人を助けようという思いが強すぎて甲斐性の考え方が苦労を当たり前に超えてこられた方の感覚。地道に働いてやっていこうとされる人に対しては大きな甲斐性を持っておられた。丁稚奉公とかそういうのを経験されているだけに、そういうゼロから成り立たせていくような考え方を理想とされているのだろうと思う。

久しぶりに電話でお話して先代がお亡くなりになられたことはびっくりしたことだけどもお仕事のほうはコロナ禍でも順調に行われていて安心した。このコロナで何十年もお付き合いのあった問屋さんなどが廃業されたりも多く、コロナ禍においても出来ることをマキシマイズしながら、自分自身がどんな状況でも立っていけるようなことを常に模索してやっておられるみたいなところだろう。

戦後の話を聞くと今の時代にはそういう経験は想定外なのだけども、ものごとをやっていくときにはゼロからというあたりは、昔も今も同じで、すでにベテランの競争相手がいるような繊維業界においては、深く長けたものがなければ残っていけないというのが現実で、働きたいどんどん仕事したい人の多い海外との競争なのである。

そういう海外勢の勢いにも負けずに日々、新しいものを生み出して行くような力があってその蓄積が大事で、日々新しいものを生み出す意欲すらもがなくなれば普通にあるものを守るだけの世界でどんどんと苦しくなっていってしまう。シャトル織機のシャトルをつくる技術なんかも秀でたものなんだから応用をすればいろんなことが出来るのにと思うけどもそういう応用はご法度何だろうと思えたりもする。

自動車業界で世界を飛び回って成功して引退された方が、米原の展示でものづくりに興味があるとじっとミシンでの縫製をみておられたり、これだけの力があって昔ながらの繊維の世界におられるというのに不思議な感覚だとおっしゃってくださるも、私自身、田舎にいながらもモノ作りする時には技術だけじゃなく、人の器用さみたいなものが一番大事な要素だとおもっていたりして、技術とかじゃなく、他の人がやったら失敗するようなことをやって成り立たせるみたいなあたりが大事で、そういうことが出来ないと大手と同じで零細な企業にしても大手以上に残りえない気もする。

職人というのはものさしを使って計算して確認するのも苦手なのが普通で1cm感覚。私の場合はコンマミリまで気にするタイプだから、普通の職人の100倍くらいのこだわりがあったりもする。麻という世界では揺らぎは普通にあるのだけども、その揺らぎを抑えるためにはコンマミリの世界が大事だったりもして、それでいてセンチに収まることもあるし、センチに収まることもない世界で、昔ながら職人感覚でセンチの範囲で仕事をせめてミリ単位にやれば人の揺らぎも少なくなりよいのにと思う。多分、繊維以外の産業だとせめて1mmの世界を無理は分かっていても追い求めているから日本でやっても海外との差別化もできて残っていけるのだろう。


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