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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

コロナの影響

2022年08月01日

長栄座のロビー展示で、地元愛荘町のお客様から、旧秦荘町の蚊外にある金剛苑さんが閉館されたというお話を初めてお聞きして驚いた。川口織物さんが運営されていたのだけども、観光バスで他県からもこられてお昼ご飯を食べてもらうのだというお話を、川口織物の社長が林与にみえられたコロナ前のころにお聞きしていて、6月とかに毎年生地の特別セールをやったりもするとか、地域の拠点づくりにも昔から動いておられて実際のお客様対応や広い敷地の管理など大変だろうなあと思っていた。

川口織物さんも若社長が現場で本麻織物を織っておられるというお話を聞いていて、私の若いころの苦労と同じで大変だろうなあと思うばかり。もう年配のベテランの現場の方も引退されたのではなかろうか。本麻関係の需要規模も相当小さくはなっているけども、若い世代のひとが引き継いで産地に残して行くというのは産地全体としても大事なことだと思う。そういう麻織物の文化がどういう形で産業的に残っているのかというと、それぞれの会社が現実的な織物の仕事をすることで産地の特色が残って来たし残ってゆくだけのことだろうと思う。

林与は今は地元の麻関係の組合には所属していないので、地元の業者さんのことも知らないことが多かったりで、それでも織物の業界の同世代は一つ前の世代の拡大期で羽振りが大きかっただけに、その後の片付け的な縮小期での仕事人生ですごく苦労されているので、その分気の毒だなあと思う。林与なんかは先代が亡くなったときに、途方に暮れるでなく、昭和的な繊維産業の感覚からの脱皮で会社の立て直しから、これからは自分がやると割り切ったのが正解で、やれることはすべてやってみようという姿勢でそれに共感してくださったのは、全国の人々また海外の人々。

自分が布を見る目があるのかないのか、それって本当に大事で、それは私が作った布が展示会などでハンガーラックに私が良いと思うものと普通のモノを一緒に200点くらい掛けておいて、私の良いと思うものをどのくらいのデザイナーさんや素材の発掘のプロが選んだかというのが参考になる。テックスワールドパリでは、林与のブースは一番小さかったけどもクールで高級なイメージだったと自分では思った。

2012年のパリの展示会でも、初日の最初初日旭化成の方と30分くらい話していて、次は繊維ニュースの記者の方、ホントの最初のお客様が外でじっと外で待ってくださってるファッション系の学生さんなのかなあと想像する。服を自分でつくっていると、自分の今年のコレクションブックを私にこんな服をつくってるんですと見せてくださる。ナチュラルテイストな良い感じの作風。その方が言われるには、ヨーロッパには良いリネンがないから、今日は良いリネンがみれて本当に幸せだと言ってくださる。アイリッシュリネン生地をすごく気に入ってくださってでも値段が高すぎるので無理だと、なんか、誰か分からなかったけども、すごく林与のアイリッシュリネンことを気に入ってもらえたので、1枚だけディスプレイ用に持って行ったアイリッシュリネンのハンカチを記念にプレゼントした。当時ベルギーで一番有名位な天然素材系の人気のデザイナーで日本でもブランド展開されていたソフィードールさんだった。私もヨーロッパでのアイリッシュリネンのことを知りたかった調査的な展示会出展だったので、いろいろと聞いたけどももうヨーロッパには良いリネンはないというようなお話だった。

私自身が麻布にもつ良い感じというのは、それが林与の麻布のテイスト。布というのは言葉みたいなもので、デザイナーたちに語り掛ける。布がデザイナーたちに語りかけるものは多いと思う。林与の中にヨーロッパが失ったリネンの良い感じが残っていたりもして、ブランドの古参の方や重鎮の方が他の方に紹介してくださり、林与のブースを見てくださるケースも多い。私のものづくりだったり、先代のものづくりだったり、おじいさんの近江上布のものづくりだったり、と日本の近代以降の麻業界の歴史を凝縮したようなものづくりを海外のかたに見てもらえるのが林与の海外でのプレゼン。今の生地をかってもらうよりも日本の織物のものづくりの世界を知ってもらうというのも展示会に来られた方にとっては意味のあることではないのかと思う。そういうのが林与の本当に強いところで、林与のものづくりがリネンの本場ヨーロッパの方にも評価してもらえるあたり。JETROの商談会でもロンドンの生地やさんが、林与の近江上布のはぎれをみられて、アイリッシュリネンなんて忘れたほうが良いといわれ、林与の近江上布のはぎれを宝もののように思ってくださるとか。


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