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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

中流ブランド化

2022年12月10日

1000円とか2000円のアイテムが主流だった、大手SPAの商品が、2000円、4000円と中流ブランド化してきて、売り上げは伸びているものの、売り上げアイテム数はかなり下がっているのではないかと思える。そうなると計画生産の場合には大量の在庫が生まれてしまうのだろうけども、売り上げを微増と読んで生産量を減らしていればそれほどの在庫はでないだろう。

低価格SPAブランドも、社内体制も非正規だったのが正規雇用形態になり、昭和の時代のアパレル企業と似たようなビジネスモデルに移り始めてきている。下方硬直性的な要素が働いて、値段を下げていくことは難しくなるだろう。実質のアイテム価格が、スーパーの服飾売り場と同じ程度の、3000円から8000円くらいで平場ブランドの価格帯に落ち着くとすれば、今の品質レベルを維持することが大事だろうと思える。

低価格SPAブランドも、品質的には悪くないあたりがあったが、価格を上げながらもだんだんと悪くなって落ちてきてしまっているあたりがある。フリースのパーカーも昔のものほど分厚くて暖かだったのに、今は薄く粗悪になってしまって、最初のころのこれがなんでセールで990円みたいな10倍の1万円でもよいんじゃないかという驚きがなくなって来ていて、値段相応なものにしか見えなくなってきている。

品質がおちることこそがものづくりの世界では一番駄目なところなのだけども、利益を上げようとすると安い素材に手を出して安く作るために規格を落としていく、より安く作れるリソーサーを探して、本物の安物づくりに落ち着いて値段だけが上昇していくというようなのは、高級ブランドでもよくある話。高級ブランドがなぜか天然繊維の高級な素材を扱えなくなっているのも、高級ブランドも高級ブランドのラベルついていれば高く売れるというような商売に下がって来て、安いものを高く化かすようなビジネスモデルに落ちつつある。

イタリアの最高級のライセンスブランドのものづくりを生地商社経由で受けて、その間にもう一つアパレル商社が入って、イタリアの高級ブランドのものづくりは成り立っても、生地商社さんが廃業されて、そのしわ寄せは、林与が被っているとか。林与の素材を使った高級ブランドの商品は成り立っていてもその裏側がなりたたないような、日本の繊維業界の構造。イタリアの名だたる高級ブランドが地道な生産者泣かせなことが普通になってしまってたりとか、いろんな展示会でお会いして、高級ブランド自体は思いを持っていてくださっても、日本の成熟しすぎた繊維業界が本当に田舎の一企業の覚悟もなくて、田舎の一企業がイタリアの高級ブランドのものづくりするお金の問題を最後解決する話。そういうのが普通だったりするのが今の日本の繊維業界で、展示会でお会いするイタリアの高級ブランドの企画の方は知られない世界。

イタリアの高級ブランドの仕事ですらも、間をいれて受けたら信用不安があるようなところが日本の昔ながらの繊維問屋構造、本当に難しくなってしまって、間の問屋の方もアイテムの作り方も分からずでは、仕事を受けたらややこしくなるから駄目ですよと厳しい話をした世界。仕事もややこしい流れになったけども被ってそれなりに問題なく成し遂げて、そして支払いもできなくなられて被った話で、その先のアパレル商社もあるのだけども、そこが被られるでもなく、商品は店頭に流れて成り立っても、小さな田舎の林与が最後、お金の面を被って、日本でのイタリアの高級ブランドの普通の世界が成り立っていたりする。日本の繊維業界ってかなり危機的な状況になりつつある。商社やコンバーターやエージェントが仕事を頼んで来られても、最初から大事なことを話しできる相手かどうかとか、約束を守る相手かどうかとか、仕事を投げ出したりしないかとか間に入った相手が自分で支払えるかどうかが大事だったりする。

繊維のものづくりというのは、とくに定番でない新規企画はリスクが高く、それをやるためにはリスクを受け入れる覚悟が必要で、その時に、本当に一番安全な方法で最初から企画できるのかどうかというのは、先染め織物の場合にはコスト面で大きく違ってきたりすることが多い。一つの無地のカウンターであっても、それを先染めにするときに、色柄を付けるだけで問題が起こってきたりする。堅牢度という問題だけでなく、収縮率やバブリングの問題など。アパレルの検査基準は合成繊維基準であることが多く、水を吸いやすい麻はそれ故に収縮率の問題などを抱えがち。


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