for English speakers: Welcome to HayashiyoWelcome to Hayashiyo
リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

サンプル

2023年03月16日

昨日から岐阜からもどって1時間寝て休んでからぶっ通しで、整経を仕上げて繋いで織って縫製して加工してキッチンクロスサンプルの出荷。並行しながら織らないといけないものを織るのだけども、この一連の濃すぎる作業密度というのは他の誰にもまねの出来ないほどの作業密度。ほんとだと何人もが働いて1週間かかるようなことをまるまる24時間で一人ですべてやるとか。どの作業工程も普通の現場の職人レベルの3倍くらいの速さと正確さで直線的にこなして行く、並行しながら織らないといけない仕事もおりつつ。

新しい商品の開発の話があって、心配に思うことがあるので、その心配点を検証してからでないと、企画の話だけが進んでも現実的でない部分や、問題点などが見えないままに進んでも、後でその問題をやり直したりとか見積もりを出すとかも難しいので、他の仕事に追われながらもギリギリのギリギリで、新しい企画の仕事のサンプルつくりを濃く濃く仕上げる。何よりも、本生産に向けた問題のたたき出しという部分があって、今回の作業で思っているキッチンクロスを作ろうとするとどんな問題があるのかが見えてきて、本当に意味のあった24時間。

こういうのをできる能力がものづくりの現場にないといけないのだけども、あまりにも要素が絡みすぎていて、現場で分業での作業ではサンプルづくりでさえ問題に遭遇したときにどう対応するかという総合的な判断も必要で、本当に本生産が出来るのかどうかというあたりも、この24時間で見極めないといけない。染めた糸が織っているときに切れやすいという問題が見えて来て、また、加工時の問題なども見えて来た。問題があると、問題があるというだけでなく、その解決方法を考えるのも林与の仕事の部分であったりもして、どのあたりまでのものづくりを目指すのかの見極めみたいなものも大事で、たとえば、一番安全なところまでのものづくりに持っていくのか、多少の問題は仕方ないで妥協するのか、問題が多すぎるからこの企画は辞めておいた方がよいとアドバイスするのかあたりの判断などをするために、頭で想定するだけでなく実際にやってみてどうしますかの提案。これが本当なら一番、正しい提案方法なのだけどもとことんな仕事力が必要。

商品開発時に分業だと本当に難しくなってしまっているのがありがちなスタイルで、これだけの検証をすると1つのサンプルに通常だと何人もが1週間の力を使ってしまう。委託での小物関係などの仕事ではサンプルをつくるというのやってたけども、問題があったときには本生産が入ってこないので、どんどんと体力は消耗してしまうような結果だったりもした。正しいモノづくりではあるのだけども、この形というのは成り立ちにくいようなモノづくりの形。そしてさらに厄介なのが、本生産の時に糸がないとかいろんな問題があったり、サンプルでは検証が難しい、支給の糸に問題があって織れないことで苦しむとかも多かった。本生産のロス率なども見えないことも多いので、そういうのもロスが出た時には機屋の責任になりがち。

糸支給で企画される仕事は原則受けないことが吉だったりするのが、問題がおこれば仕事するものがまるかぶりみたいな結果になることが多く、本来だと、糸が駄目だから織れないで終わる話を、織れるまで要求されたりもする。2割足りなければ、その2割を作り直しとかどこまでもマイナスが広がってゆくから、織物の仕事というのはそういうマイナスも想定したうえでやらないと怖い話である。新規企画の問題を洗い出すためのサンプルをつくるためにも本生産と同じ以上の労力が必要だったりすることが多い。委託での仕事を辞めたのはそのあたりで、問屋さん経由の話もやめたのはそのあたり、問題が起こると見本倒れとか、丸かぶりになりやすいケースが多すぎる。

以前やっていた小物関係の仕事や問屋さん経由の仕事の問題は、お客さんのお客さんの仕事を受けるというところ。問題が起こったときに鬼の首を取ったように、困るんだよねみたいな話のところが多かったりで、支給の糸なんかは問題を抱えていることも多い、特に麻糸の場合には、林与のようにすべてがっちりと安全に作っている定番からぶれないような商品開発でも問題は起こるのだから、他の人が糸のことなどに関わると問題は起こって当然も普通。支給の糸の不安定さというのは、無茶苦茶だったりする。

あと、企画書とサンプルスワッチで、本番だけ頼まれる形とかも、織れないものを回されてくることがあったりする。林与が織ってもどうしても織れないので、サンプルどうやって作ったのかと尋ねると、手織りしたとか。最悪のパターン。量産も考えずに手織りでサンプル作って、量産の注文受けてとかは、素人のものづくりの世界そのもの。無理やりシャトル織機に貼りついて織り続けたけども、素人すぎる世界のものづくりは後の問題を解決してあげるのが大変すぎる。あとで、手織りでそのサンプル織ったと聞いて唖然とした、それ聞いて死にそうになった、どこまで素人レベルなんだ。それも、量産依頼するときに言わないで依頼してたりとか、問屋さん経由だったので、巻き込まれてしまったけど、アカン世界そのもの。林与も他で織れるのに自分が織れないのはおかしいと思って、まともな織機を調整しまくるとまともな織機も崩れてくる、ほんと駄目な話。


ホーム | ショッピングカート 特定商取引法表示 | ご利用案内