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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

求められるもの

2023年04月06日

林与という会社は、昭和の時代に、イタリアでレピア織機で麻が織られているという話を聞いて、日本の麻業界の中では一番くらいにレピア織機を導入して麻を織った会社で、林与で麻が織れたことで産地の他の会社もレピア織機を導入が始まり、それまでは生産性の低く、仕上がり巾も90cm程度だったものが、112cm程度になり、生産性が上がったことで生地単価も下がり、洋服にも使えるような生地が作れるようになった。

レピア織機というのは多色化が可能で、6色から8色程度使えるというのが利点で、シャトル織機のようにシャトルの管に糸を巻く必要が無く交換する必要もないので、生産性は高い。レピア織機というものは、初心者でも最初の日から織物が織れるくらいの織機で、車で例えると運転の簡単なAT車みたいなところがある。

手間暇が省かれて誰でも簡単に織物が織れるようになったことで、織物の価値は落ちてしまったことになる。不思議なことだけども、初心者がシャトル織機を動かすことは案外簡単にできても、レピア織機で慣れた人がシャトル織機に移行することは難しかったりするもので、工場の仕事で織物を織っている人が、普通は自分で手織りをしようと思わないのと似ているところがあるのだろう。

経験者の人でも自分が慣れている機械しか使えない人が多いのだけども、未経験者の人は、最初の日からどの機械でも教えれば使って作業できたりすることが多い。でも、一つの経験だけを積んでしまうと、長年の経験者でもそれ以外のことが逆にできなくなるという問題を抱えている。

林与が現場の仕事を初めてしたときに、織機の調子が悪いときに埃や油まみれの織機の下に段ボール敷いて私のおじさんが潜るのをみて、織機が壊れた時には次からは私が一番にもぐろうと思った。そしてそれが今まで続いている。その時も、どこをどう直せばその問題が直せるのかを理解して次からは自分が直せるように問題解決に立ち会った時間を無駄にしない。他の人がやっているのを一度見れば次からはそれも自分の仕事みたいな感覚。新しいことをやっていくためや問題解決のためには、一度もみなくても自分で仕事で新しいものを生み出していかないといけないのだから、やっているところを見せてもらえるのは次から自分が仕事を同じようにできるチャンス。自分で見て真似てそれをやれる人だけがその仕事を普通にやっていけるようになるというだけのこと。


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