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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

雪国

2023年04月08日

地球温暖化の傾向で昔よりも冬に雪が降らなくなり、近江湖東産地でも麻を織ることが難しくなり始めている。雪に閉ざされて気温が氷点下というのは、非常に麻織物が織りやすい環境。

1日の中でも、夜気温の下がるときというのは麻織物が織りやすい環境で、一方、太陽が上がって朝から昼にかけて気温の上がるときというのは麻織物が織りにくくなる。五月晴れのようなスカッとした日というのは一番麻織物には適していない。

さらに、今はリネンなどの糸質の問題がシビアになって来ていて、これも地球温暖化がフラックスの作柄に影響を与え、なかなか良い原料が取りにくくなってきているということである。

雪の積もる雪国というのは周りを雪に取り囲まれて気温が上がることがなく、気温が下がったままで乾燥することがないから、麻が織りやすいのである。子供のころに覚えている雪に囲まれた無茶苦茶寒い冬というのは、麻織物を織るのには適しているということであろう。

近江湖東産地の麻織物に関しても、琵琶湖周辺というのは葦やよし、蚊帳のような荒い織物がつくられていて、山側で近江上布のような細番手のものが織られていたとされている。林与の地域も山側に相当して、冬は雪にとざされて村から出ることができなくなるような地域だった。

麻織物というのは本来全国のどこでも織られていたような織物で、なぜ近江湖東産地が麻織物の本場として残りえたかというのは、彦根藩が特産品として生産を奨励し、近江商人たちが全国に広めたということがいえるだろう。

昭和の戦後以降も麻織物の本場としての地位を確保できたのは、他の産地が広幅対応が難しかったのに、近江湖東産地は織機を広幅に変え加工工場も広幅に対応し、アパレル化に成功したということが言えると思う。


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