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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

地力

2023年04月18日

弟が手の足りないときに作業を手伝ってくれているが、織物の作業はほとんど未経験者。
糸を結ぶとかが一番の難関の一つのようで、自動車の運転なんかも年配者が免許を取ろうとしても運転するという感覚になれるには時間が掛かるのと同じで、体や手足を動かす作業というのは若いうちに慣れておかないと難しいのだろうとは思う。

コンピュータ関係の仕事に携わっているので、織物の織機の構造なんかはそれほど難しくはないだろうと思っていたけども、糸を筬のどこに通したらよいのかなども周りの糸の状況を見てパターン的に判断するということは難しいようで、迷ってしまうことが多いようで、自分の頭で理解するのにはそれなりに時間が必要みたいである。

コンピュータというのは電気信号の世界で、レピア織機は電気部品が多かったりするのでデジタル的で分かりやすかったりするのだろう。シャトル織機というのは、アナログ的で機械式、機械の構造をたどることで動きを理解出来たりする。それを理解するには機械の動きを見て理解する必要がある。それを見て理解する時間が足りないということだろう。物理系も得意な弟なので、一度構造を理解したときには私よりも理解度は深いだろう。

私の場合にはその場でその時に動きを見て機械の動きを復習して、機械の動きを捉えたりする。マニュアルを作ればよいのだろうけども、実際に説明してもその説明方法が読む人にとって理解しやすくなければマニュアルの意味もない。

レピア織機のマニュアルもあったりはするけども、最初の設定というものがすでにずれてしまっている可能性が高く、伸度の少ない麻糸のテンション管理の問題は非常に複雑で、単にビームの送り出しのテンションを調整しただけでは難しかったりする。テンション管理の機構がうまく働く範囲に開口を調整したり、開口による糸の張りを吸収するためにバックレストを調整したり、また、ビームの残りの量を読んで動くレギュレーターと呼ばれるものの動きをどの程度送り出しに伝えるかなどとか、それぞれの部位の説明は最初の想定が守られているなら、説明書通りの調整で機能するだろうとは思うけども、最初の想定からして、正しい位置にどこもがなければ、一つの場所を動かしてもそれが糸のテンションにまで働きかけることが難しかったりもするし、働きかけたところで無理な働きかけだとまともに織れない。

ボタンの掛け違えを他のところを調整して直そうとするといろんなところの調整が無理無理でなんとか織れるというような状態になってしまって、普通の規格の織物すらも織るのに苦戦するようなことになる。怖いのは材料であるはずの糸もテンションを伝える部品のようなもので、それの伸度や強度が十分でなかったりとか、毛羽が多いと、壊れた部品を織機に付けてしまうようなあたり。

2年前のフラックスの作柄が最悪だったと糸商のある方が言っておられ、糸も高いが問題も多かったりする。コロナで糸をあまり動いていなかったこともあって、大きな糸トラブルはなかったけど。近年の糸が10年前の糸と比べてもかなり強度なども落ちてしまってきている。

50年前の140番手のアイリッシュリネン糸なんかは経年で若干のいとが呆けてくるというかフィブリル化も進んでいるはずだけど、今の100番手の糸よりも強かったりする。10年前の100番手は最終糊を付けずにかなり密度のアパレル向けをレピアで織っていたことも多かった。今では絶対に難しい話。7年まえだったか、60番手クラスが織れない年があったり糸が外れだったのだろう。

今もオーガニックの66番手クラスの糸をレピアで織るのが難しい問題があって、オーガニック特有の問題を抱えているのだろうと思えたりもする。リネンの場合、3年間無農薬の規定とかは連作障害を避けるためには難しいだろうなあと思えたりする。北海道で自前の畑でリネンを育てて糸を紡いで手織りされている方が、毎年織るのが難しくなっていると言っておられ、連作障害の問題が起こってしまっているのではなかろうかと。

オーガニックリネンを育てるために、他のものをオーガニックで育ててとかまでは現実的に、何農家なのの話で、オーガニック農家がオーガニックリネンを育てているような状況を想定しないと難しく…。結局それが、連作を招いて、どんどんとオーガニック系の糸の弱体化をもたらす。オーガニックラミーも当初の糸よりもかなり織りにくくなった、規定を正直に守っておられるからだろうと思う。

糸商さんも言っておられたがリネンやヘンプの100番手とかの糸は日本に持ってきても使える機屋が非常に少ないという問題。麻機屋自体が日本には少なくて、通常は縦に綿糸などで横に麻糸を織ったりするケースがほとんど。林与が昔、超細番手の糸を直接海外から仕入れ始めた理由もそのあたりで、継続性などが不明で織れるか織れないかのリスクも覚悟して自分で抱える必要があったから。紡績工場でもリネンの100番手を超えるクラスは、手織り用とかで、縦に織る想定はあまりなかったりされる糸。




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