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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

生産地

2009年07月24日

以前、人気の布の生地屋の社長さんと話をしていたときに、織るということの場所にこだわっておられるのに驚きました。布の原産地というのが、その布を織った場所であるということを理解されておられ、そのことにこだわることのできる、すごい人だなあと思ったのです。消費者を騙さないという姿勢が伝わってきました。

一部のこういう方を除いては、インターネットでリネンを販売されている方のほとんどがそのことをよく理解されておられず、外国で作っても西陣織みたいのと同じ感覚で売られています。アイリッシュリネン糸を使ったという布が大量に出回っていても、実際にアイルランドで紡績された糸ではないのです。1万円未満の近江上布があったりするのも、中国で作ったものを近江の業者から買ったというだけで、産地も由来もしっかり確認せずに近江上布として不当表示で販売しているケースです。お客さんというのはその言葉を信じて買って、それを使って物をつくりまたみんなに自慢するだろうに本当に気の毒な話です。当たり前のことですが、偽のブランドを騙して売って騙されるほうが悪いというのがまかり通っては駄目だと思うのです。

リネンの業者の間では、ヨーロッパのものはいい加減なものが多く、リネン100%を謳っていても実際はコットンリネンの糸を使っていてやわらかかったり、どう見てもリネンじゃないなあと思う糸が使われていたりすることが多かったりします。日本でそれを売る人に基本的な知識がないので、コットンリネンの安い糸を使用したものを、よいリネン糸だからやわらかいとか言って売ってたりします。ブランドの方が、ヨーロッパでリネン100%ですごいものがあると見せてくれても、綿かレーヨンじゃあないのかという結論がほとんどで、特にイタリア近辺のものが怪しくなっています。

残念ながら、近江産の麻布に関しても、この産地で本当に織られる近江湖東産の織物というのはほんとうに少なく、他産地で織られたものに「近江」という言葉をつかって販売されているケースがほとんどです。産地で織を守るのが難しいのもそのあたりです。湖東産地で麻を織っているところはほとんどなくなっているので、本物の近江産麻布といえるものはほとんどなく9割以上が他産地産というのが現状かといえます。


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