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リネンや麻を織る日々をつづっています。

リネン日記

特別な器用さ

2023年10月11日

仕事をはじめたころ、整経の作業をされていた方が、特別器用で仕事熱心な仕事の正しい姿勢を貫いておられた。整経作業だけでなく仕事の下準備と織りあがった生地の後片付けなど他の人がやらない分までやっておられた。1日の仕事にしても、分野は違えど他の人とは仕事の質、量ともに何倍もの差があって、時間から時間で帰ってゆくのが当り前の人たちとは仕事ぶりは雲泥の差。

毎日他の人の何倍もの仕事をされているから特別な器用さもそういう作業の中から生まれてくる。整経なんかも1日に3本くらいされていた。林与も最初整経の作業をしていたのだけども、その方と同じような作業を若いころから普通にこなしていて、より難しい麻関係の整経が仕事を始めた時からの私の担当で、仕事を始めた最初の2年その方と一緒に会社の中のいろんな仕事を経験していた。

一日働いて疲れ切っていてもそこからまだ一仕事二仕事が普通みたいな仕事の姿勢を一緒にしてたのだが、先代の緩慢経営では会社はまったくどうしようもない状態。その方が仕事ができるのもなぜかというと、先代が育てた人じゃないから、私が仕事ができるのも同じで先代が教えた仕事という概念はどうしようもないもので、たとえばあいつらを食わしてやってるとか、整経ばっかりやってたら頭が腐るとかあほばっかりで、そういう感覚が仕事できない人を増産してしまってる。

私も子供のころから先代はまったくどうしようもない親だと感じて来て、剣道の先生方に育てられたようなもの。剣道の世界にしても先代が役で関わるとろくなことなくそのどうしようもない毒を広げようとする。どうしようもないアル中が若いものに酒飲ませて大物気取りとか、ほんとやめとけ時代が違う。子供のころから見ていてどうしようもないあほな親で、まわりもそういうアホがお金ばら撒いているからそれを頼りに生きてては、本当の働く力もなくそういうアホにすがっているような状況で、歳をとっていても食べさせてくれるのを待っているヒナのような人が多い。そういうヒナみたいな人は先代がいなくなってからも私に食べさせてもらうのを期待している人もいるけども、そういう感覚が先代がつくった田舎や繊維の世界のどうしようもない縮図で間違い。

そういう何十年の経験者でも一緒に先代を頼って生きてきた問題を片付けられるのかというと、1日の仕事でも絶対に無理だし、一つの作業でも絶対に無理。そういうのも分かっているから先代の何億もの問題から逃がしてあげているのに、取るばっかりで先代に近づいていた人というのはそういうのも分からずにまだ取ろうとして近づいてくるけども、そういう人に普通の話をするとそういう先代が面倒を見た人が敵対してくる人も多い。先代の問題をすべて背負ってるの分かっている人というものいてくださって、そういう人が親戚の中でも外の世界で強く生きておられ先代というよりもヨジヨモン、与一爺さんのころの精神で強い絆。

先代みたいなものが仕切り始めたころからそういう昔の近江上布の感覚が消えて、先々代ころの厳しさというのは他の産地には残っていたりして、地場でもそういう昔の時代の話をするとそういうものづくりをしないと駄目みたいな話になる昔の地場産業のものづくりを知っておられる方も残っているけども、もう引退も間際でそういう昔のなにもない田舎の働いて出来てなんぼで近江上布の世界をつくりあげたような感覚がなくなっては、できないことだらけになってしまって、できることも、しらんわからんできひんが昭和の時代から当たり前になってしまっていた。

地場産の本物志向を貫いている林与に、悪い気持ちもまったくなく林与さんも看板があるのだから自分みたいに他のところで作った生地を化かして売らはったら簡単にもうかるみたいなことを地場の伝統工芸士の方でも薦めてくださるけども、それしか儲けて残る方法が残っていないというのも地場産業の課題なのかと思って、産地でのモノづくりを残して消費者を騙さずに産地産を成り立たせていく方法はないのかと、昭和のころからの熊本のアサリ問題と同じ様な状況というのも昭和の時代からの麻織物の本場の産地が抱えている課題。麻織物というのは手間が掛かるだけに、昭和の時代でも林与の中の何十年の経験者でも、その手間を当たり前に耐えられる人というのは少なくなってしまっていた。今の時代の人がそれ以上に強くないと産地産の麻織物を残して行くというのは難しいことだろうが、本場の産地で織られる麻布の本物というのは出来る人も少なくなり、それでいて、麻織物が本場の産地で織るのが難しくなっていて、産地でも産地で織られた麻布を見つけるのが難しいような現実というのはまったく知られてもいないし、消費者にも伝わってもいないであろう。


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